「脱家電」に走る家電量販店 住宅、酒、医薬品…新たな収益源はどこに

拡大
縮小

一方で過当競争に陥る業界体質は相変わらずだ。国内の市場縮小にもかかわらず、新規出店・改装効果による目先の売り上げ確保に、精を出してきた。

業界最大手のヤマダ電機は、店舗数を10年の436店から13年には664店へ拡大。スケールメリットを武器に「どこよりも安く」と唱え値引きを仕掛けた。それに対抗し、地方を中心に、ヤマダの隣にさらに大きな店を出してきたのが、ケーズホールディングス(ケーズデンキ)だ。今や3000平方メートル以上の大型店が同社の6割を占める。仁義なき出店競争で、どこを切り取っても同じような店構えが全国にあふれた。

表面的な値引きとは別に、ポイント制度の積極的な導入も収益を圧迫。大手では、原則10%のポイント還元率を商品によっては一時、最大20%も還元していたことがある。薄利多売を続けた結果、上位3社の経常利益率は2%台と低い。アベノミクスの恩恵もなく、今期は業績予想を公表する5社中、全社が減収減益だ。

新たな商材に手を出す

それでも共倒れを避けるため、各社とも一時の特需に左右されないよう、それなりに手を打ってはきた。

たとえばヤマダ。2011年10月に大阪の中堅住宅メーカー、エス・バイ・エル(現ヤマダ・エスバイエルホーム)を買収。13年11月には、低価格注文住宅のヤマダ・ウッドハウスを設立し、住宅事業を次の柱にすべく、大きく舵を切った。住宅のみならず、合わせ技で、省エネ性の高い家電の販売にも力を入れる。もっとも、ヤマダ・エスバイエルは13年度の営業赤字が6億円と、一本立ちにはまだ遠い。

そのヤマダと同様に、「住」の開拓に挑んでいるのが、業界3位のエディオンだ。13年には住宅設備最大手のLIXILグループとリフォーム分野で提携。リフォーム事業の売上高は約200億円(13年度)と、前年度比で59%増加した。まだ全体の売上高の2.6%にすぎないものの、いずれ柱の一つに育て上げるつもりである。

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