稼ぎ頭のドコモに変調、どうする巨人NTT グループの巻き返し策にも懸念
同部会が10月16日に卸売りを容認する答申案を発表すると、NTT東西はサービスの提供条件を即日開示。ライバル各社の反発が強まる中、ドコモは10月31日にセット割引「ドコモ光」を、来年2月に開始すると公表した。
もともとNTTは、12月から卸売りサービスを開始する予定だったが、実現は難しい。一因は、総務省での議論が長引いたこと。特別部会の話し合いで、当初予定になかった卸売りも含めたことで、時間を食った。最終的な答申は、今月中に総務相に提出される見通し。ただ、鵜浦社長は「(予定が)1~2カ月遅れるだけ。2月にサービスを提供できるようにする」と、気にする様子はない。
価格交渉で漏れる事業者の不満
一方、卸価格の取り決めは、一筋縄でいきそうにない。NTT東西は非公表だが、現場の交渉では戸建て向け月額3500円、集合住宅は2500円という条件を提示している。これに対し「価格が高すぎて広がらない」(交渉中の事業者)と不満も漏れる。
また、ドコモ光では、プロバイダ(ネット接続事業者)から不満の声が上がる。同サービスではドコモの携帯と他社のプロバイダを組み合わせられる。関係者によれば、ドコモはその接続料を500円にするよう、水面下で交渉中。しかし、多くの事業者が約1000円でサービスを提供しており、「(ドコモが示した)条件は非常に厳しい」(プロバイダ幹部)と明かす。
予定どおりドコモ光を実現したとしても、セット割引による大きなコスト負担をどう吸収するかという課題もある。固定回線は携帯に比べて解約されにくい傾向があり、「最初の面取り合戦で負ければ数年間は負け続ける」(業界幹部)との声も上がる。KDDIやソフトバンクも積極的なキャンペーンで迎え撃つ構えで競争の激化は必至だ。
ドコモに限らず、NTT東西は、多くの事業者と卸売りサービスで連携し、回線契約数増加を実現することが喫緊の課題。巻き返しの一手で“突破力”を示せるか。年明け以降、NTTグループの正念場は続きそうだ。
(「週刊東洋経済」2014年12月13日号<8日発売>の「核心リポート02」を転載)
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