なぜトヨタは部品事業の再編に着手したのか 「踊り場」と位置づけた今期、懸案に踏み込んだ
TNGAは来年秋に予定する4代目「プリウス」から本格的に立ち上がる。今回、分散していた機能を集約することで、グループの部品会社の専門性をより強化していく。
実のところ、今回発表した事業の移管・集約の具体的な方法は、これから詰める。ある意味“生煮え”でも再編の方針を打ち出したのは、持続的成長への布石を打つという強い意志からだ。
今回の事業再編について、「集約・効率化して競争力を高めることに異論はない」と、当事者となった各社からも反発の声は聞かれない。とはいえ、人の異動を伴うことから、「以前から検討してきた案件だが、これまではなかなか進まなかったのは事実」(部品会社関係者)というように、長年の懸案に踏み込んだともいえる。
さらなるグループ再編の着手も
ただし、大掛かりなグループ再編は、これまで皆無だったわけではない。04年にはグローバル内装システムサプライヤーへの脱皮を目指し、豊田紡織、アラコ、タカニチが合併してトヨタ紡織が誕生した。さらに06年には光洋精工と豊田工機が合併し、電動パワーステアリングや軸受けなどを手掛けるジェイテクトが発足している。
00年代の合併は、「本格的にグローバルで戦うための態勢整備」(トヨタグループ関係者)と位置づけられる。海外拡大に邁進していたかつてとは違い、今回は世界で築いた競争基盤をより強固にするという意味合いが強い。
実際、今年4月には、北米トヨタの大規模な事業再編に踏み出すことを発表している。現在、ニューヨーク州(持ち株会社)、ケンタッキー州(製造統括会社)、カリフォルニア州(販売統括会社と金融会社)に置いている本社を、17年までにテキサス州に集約する。転勤が一般的でない米国で4000人が異動する大きな再編だ。
トヨタにはグループ内での重複事業がまだまだある。競争力の強化に向けて、どこまで手をつけるのか。グループ企業を巻き込んだ再編劇は始まったばかりだ。
(撮影:尾形文繁)
(「週刊東洋経済」2014年12月13日号<8日発売>「核心リポート04」を転載)
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