アラサーのための戦略的「人生相談」--会社を辞めるかどうか、悩んでいます
単身での渡米だったので、週末は暇。で、毎週、電車でニューヨークに遊びに行っていたんです。そこで、商社マンとなって渡米していた学生時代の友人に偶然出会った。当時は、ITバブルの真っ最中でしたね。とにかくITと名がつけば、皆が競って投資をしていた。夜のソーホーで、サスペンダーをして「いかにも」という若いビジネスマンが、何万円もするシャンパンをポンポン開けていた時代です。友人の会社も、米国のスポーツ専門サイト「スポーツオンライン」に出資をして成功していて、次に、その日本版のサイトを設立しようとしていた。その相談に乗っていたら、ある日「社長になってくれないか?」と誘われたわけです。
またスポーツ界に戻るのは気が進まなかったんだけど、もともとサラリーマンを辞める準備のためにアメリカに渡ったという、不純な動機が半分だったから、二つ返事で社長就任を引き受けた。日本に戻ってから会社を辞めると言って、理由を説明したら「電通も出資する」となり、それで作ったのがスポーツ・ナビゲーションという会社です。
シドニー五輪に間に合わせようと、2000年8月にはサイトをオープン。立ち上がった直後の00年、01年にかけてITバブルがはじけてしまい、前提にしていたビジネスモデルが崩れてしまった。2年間で資本金の約16億円を使い切ってしまい、キャッシュアウト。結局、02年のWカップが終了した直後にヤフーに事業譲渡することになったのです。
逃げると投資にならない
ある意味で、社会人になって最大の危機を迎えたわけです。会社を潰したんですから。そうなると立派なフリーターですよね。家族4人、どうやって食っていこうか悩みました。
そのときに、天から出会いが降ってきた。ある知り合いから「広瀬さん、経済産業研究所の青木昌彦所長(現スタンフォード大学名誉教授)と会いませんか」って。