相続税の「無申告」は、バレる?バレない? 悲鳴!普通の家庭にも税務署はやってくる

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かわいい孫のためだし相続税対策になるからという父の説明を聞き、ありがたく受け取って娘の名前で貯金した。

また東京都在住の男性会社員Bさん(34歳、年収600万円)は昨年、念願のマイホームを手に入れた。4000万円のマンションを購入するに際し、父親から1000万円の資金援助を受けた。父は無口なため、贈与してくれたのか貸してくれたのかはっきりしなかったが、そのまま購入資金の足しにした。住むマンションは、もちろん自分の名前で登記した。

財産がたくさんあるから相続税が膨大になるわけで、もし遺産が少ないなら税金は安く済む。だから相続税対策とは、一言で言えば、所有している財産を減らす作業である。

Aさんの父親もBさんの家族も、自分の財産を子供や孫に分散させることによって将来の相続税対策を実行したつもりだったのだろう。実にわかりやすく、またオーソドックスな方式である。だが世の中はそれほど甘くない。この2人には後日、思いもしない訪問者を招くことになる。

噴出する「物言い」

Aさんの父は、昨年亡くなった。遺産の分割は親族間でスムーズに進み、相続税の申告も税理士に依頼して無事に済ませた。ところがその相続税の申告について、今年に入って税務調査が入ることになった。何も問題はないだろうと高をくくっていたが、数年前に父から孫にプレゼントされた前述の300万円の預金が問題になった。すでに孫の名前になっているものだし、遺産とは関係ないものと思い込み、税理士にも報告していなかったのだ。

税務署は、幼児には贈与の認識などないのだから贈与契約が成立していたとは認められず、その300万円は故人の借名財産として申告しなければならないという。また妹や弟たちからは、兄さんの子供だけ300万円ももらっていたなんて知らなかった、不公平だから遺産の分割をやり直すべきだとクレームがついた。修正申告では加算税を追徴され、ほかの家族には平謝りするはめに。後味の悪い結末となってしまった。

Bさんにも災難は降りかかった。マンションに住み始めて半年ほど経った頃、見慣れない郵便物がポストに入っていた。差出人は税務署である。慌てて開封したところ、マンションの購入資金をどのように調達したのかを問う「お尋ね」の文書だった。

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