いるいる! 話し合いを「ぶち壊す」こんな人 8種の「モンスター」傾向と対策〈第1回〉

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①暴君タイプ

議案を単独で「提出」、勝手に「可決」して、ほぼ独断で議論を進めていく人です。他人に意見を振らず、自分の意見と異なっていたり、自分が理解できない発言は無視するため、他の人の発言が成果物に組み込まれず、議論の意味がなくなってしまいます。また、「はい、そこの君、書記ね」などと、あたかも全員の上司のように人事権を行使して、勝手に役職の振り分けを始めることもあります。これが、「デストロイヤー」の中でも議論をどんどん一方的に進めていく「暴君タイプ」です。

②頑固親父タイプ

自分の意見を絶対と信じ、すでに合意している周囲の説得にもかかわらず、かたくなに反対するプレーヤーです。さらにタチが悪いのは、一度合意で決まった事項でも、「やっぱり、俺はこう思う」というように再度蒸し返して、「再審請求」し始めるケースです。最悪のケースでは、議論をゼロから始めようと怒り始め、「ちゃぶ台返し」を試みます。

固執の要因として考えられるのは、あらかじめ準備していた思い入れのある「コンテンツ」が役立たないのが怖いため、必死に抵抗して、議論を自分の土俵に乗せようとしていることなどが考えられます。「デストロイヤー」の中でも、議論の進行を止める「妨害タイプ」と言えます。

 

①の「暴君タイプ」は議論を強硬に進めていこうとする点で「与党的」、②の「頑固親父タイプ」は議論の進行を執拗な反対で止めているので「野党的」なイメージです。

対策としては、周囲の人たちと目配せをしつつ、暗黙の同盟による共同戦線を張ることが大切です。具体的には、自分と戦っている場合、「僕もそう思う、なぜなら~」のように助け船を出してもらうことです。もしくは、誰か同盟者が攻撃されている場合、いずれは自分たちの安全も危ないのですから、集団的自衛の観点から、助け舟を出してあげることです。このように、周囲と統一会派を形成し、デストロイヤーへの包囲網をつくります。

話し合いは多数決ではなく全会一致による決定が理想でありますが、最後は、実質的な多数決と同様に、組織票を固めて、押し切るしかないでしょう。

「暴君タイプ」に対しては、「議論を前に進めていただけるのはありがたいのですが、現状のアウトプットに皆の意見が反映されていないようですので、もう少し皆の意見を聞いて進めていきませんか?」、「頑固親父タイプ」に対しては、「確かにおっしゃることももっともなのですが、時間も限られていますし、ほかの皆もそう思っているようですから、この点に関しては、今回はこの方向で進みませんか?」というように、柔らかいながら、率直に伝えていくことだと思います。

あまりに攻撃的なデストロイヤーの場合、何か抵抗のそぶりを見せると、目つきや顔つきで威嚇されてしまう場合がありますが、相手の貢献に感謝したり、内容の価値を最初に認めてから自分の意見を伝えていくことで、反作用は多少緩和されるでしょう。

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