【産業天気図・外食】ファストフード好調、パブ落ち込み続く、業態格差鮮明で「曇り」止まりの鈍い景況感
反面、未だに復調の兆しが薄いのが、パブ・居酒屋業態だ。中でもパブ・ビアホール業態の10月の売上高は前年同月比6.9%増と、全業態中最も落ち込みが大きかった。居酒屋業態も同0.1%減と減収幅は小さく見えるが、09年が08年比7%減だったため、そこからさらに落ち込む苦戦状態にある。
パブ・居酒屋業態の落ち込みが特に厳しい理由は、需要に比べ、店舗数が過剰であるためだ。たとえば09年の外食業界の倒産数674件(前年比7.8%増)のうち、同業態の件数は全体の3分の1を占める212件だった。
パブ・居酒屋各社は客数獲得に向け既存業態から、客単価2000円を割る低価格業態への転換を進めているものの、根本的には過当競争を脱する方策とはなりえていない。
既存業態の低価格店への転換に否定的なワタミの場合、向こう3年で経年劣化の目立つ「和民」150店舗を改装する。「店の鮮度が失われている店舗を対象に行うことで、顧客の目を引くことができる」(桑原豊社長)。実際、改装効果の影響もあり、同社の10月既存店売上高は、21カ月ぶりに前年をクリアした。
経営体力があるうちに、どの分野へ資源を振り向けるのか。いち早い判断が「曇り」脱出に向けたカギになりそうだ。
(二階堂 遼馬=東洋経済オンライン)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら