国産ネット検索ベンチャーのフォルシア、旅行業界向けから異業種へも展開
今やすっかり定着したインターネットを使った旅行の手配。国内のホテルや航空券の予約のみならず、海外旅行をネットで手配するケースも珍しくないだろう。
そんなネット旅行業界のインフラを裏方で支えているのが、検索技術開発を手掛けるベンチャー企業、フォルシアだ。フォルシアが開発した検索プラットフォーム「スプーク」は、大手の航空会社・旅行代理店のツアー(宿泊)検索システムとして採用されているほか、複数の主要ポータルサイトのツアー検索システムとしても利用されている。
日本を代表するような大手企業で、システム開発予算も決して少なくない企業が、どうしてフォルシアのシステムを採用するのか。それはフォルシアが、旅行という非常に多様性に富んだ商品を、効果的かつ低コストで検索できるシステムを構築しているためだ。
旅行業界の場合、同じ旅館の客室であっても、予約の日付はもちろんのこと、利用する人の数や属性、提供される料理の種類や、交通機関の種類などなどによって価格は細かく変化し、しかも頻繁に更新される。極めて膨大な情報の中から、顧客が求めている(と思われる)プラン、ツアーを的確に提示するのは、そう容易なことではない。
単純なデータベース検索の場合、情報量が増えれば増えるほど検索に時間がかかり、ユーザーの利便性は低下する。しかも、顧客が明確に条件を意識していればよいが、漠然と、「首都圏近郊で、週末1泊2万円くらいの静かな温泉旅館」といった希望を持っている場合、多くの条件を入力させる検索の仕組みでは、ユーザーはサイトから離脱してしまう。
フォルシアでは旅行予約サイトの利用者動向を解析、クライアントが持つデータベースを、利用者が最も情報を見つけ出しやすい形に最適化することで、検索の高速化を図っている。またユーザーインターフェースも、地域や施設種別の絞り込みなど、旅行予約に求められる検索機能を充実させている。汎用的な検索エンジンとは異なり、旅行業界という特定の用途に特化してチューニングすることで性能を高めているわけだ。