国産ネット検索ベンチャーのフォルシア、旅行業界向けから異業種へも展開
フォルシアの屋代浩子社長(写真)は「スプークの導入により、検索から予約につながる確率が大幅に向上している。これがクライアントから支持される理由」と語る。
クライアントからの商品データベースを自社のデータベースシステムに格納、すべてのクライアントに対して同じ検索エンジンを利用しているため、各企業が個別に検索システムを作り込むよりも大幅に安く機能を提供できる。また、検索システムをフォルシア側に持つため、検索機能がクライアントの他のシステムに負荷をかけなくなるのもウリだ。
株式公開が課題に
ネット旅行の業界では知名度も高くなったフォルシア。同社は2001年、屋代社長と、夫で最高執行責任者(COO)の屋代哲�氏が夫婦で創業した。
2人は野村証券に勤務し、マサチューセッツ工科大学でMBAを取得後、それぞれ別の外資系大手証券会社に移ってデリバティブ等を担当する、という華麗な経歴の持ち主だ。キャリアだけでなく、収入のほうももちろん相当なものだったが「1日24時間、おカネを稼ぐために猛烈に働かされるこの日々が続けば人生が破綻する、という状況だった。2人目の子供が生まれて育児もままならず、生活が断末魔の様相を呈してきた」(屋代社長)ことが転身を後押しした。
幸い、これまでの蓄えもあったので「夫婦2人でやればどんな仕事でも食べてはいける」と退職、起業に踏み切った。「当時はテンパっていたのでビジネスモデルも何もなかったが、COOがいちばん得意なプログラミング技術を生かし、大きく成長していたネット市場向けのビジネスに取り組んだ」と屋代社長は言う。
「いい技術を作れば売れる、と思っていたがそう甘くはなかった。大手企業に無名のベンチャーが食い込むハードルは、想像以上に高かった」(同)。結局、事業が軌道に乗り始めるまでにはおよそ5年かかったものの、大手クライアントを持つようになってからは毎期、安定的に売り上げを伸ばし、リーマンショックの影響もほとんど受けずに乗り切った。