「グリーがやるべき事業領域がわかった!」 創業10年、過去・現在・未来を語る(3)
山田:それでも新規事業をやるときには、やはり利益率を重視しますよね?
田中:まず最終形として、世の中に出してインパクトがあるものをつくれるのか、ということを気にしています。ソーシャルゲームだって、初めは単なる釣りゲームだった。これが何千万人も使うゲームプラットフォームになるなんていうことを、一番初めから考えているわけではないけれども、着想が間違っていなかった。つくっているものは、ほんの釣りゲームなわけですが、それがこんなに大きくなるわけです。そういった意味では、そういった大きくなるような、その根となるようなものなのかということを気にしていますね。
収益化されないとプロモーション費用も払えませんし、働いている人の給料も出せません。やっぱり事業として大きくなるためには、それ自体がビジネスとして収益を上げていかないと大きくならないと思っているので、そういった意味では、そのビジネスが大きくなるために必要な収益を上げられるビジネスなのか、ということを考えています。
アマゾンとウーバーは似ている
山田:アマゾンも最初は本屋というところで突き抜けていって、CDなどのメディアに広がって、いろいろとやった。その類推でいうと、ウーバーだって今はこういうビジネスだけど、ノウハウがたまれば横展開をしていきますよね。
田中:ウーバーは、次の目標として「FedEx(フェデックス)みたいな、ロジスティクスをやるんだ」って言っている。それを聞いて、すごいと思いました。
山田:例えば「何々を運んでほしい」と思ったら、スマホで周辺にある車と荷主をつなげる、というのができてしまうわけですね。
田中:そうなんですよ。ダイナミックプライシングみたいな概念と、どの車がどう走っているか、というデータを全部結合すればできますよ。人も物も、ありとあらゆるものが効率的に運べるようになる。ある意味、車ビジネスの発明とか、そういうレベルのものに近づくので、そうなると一大産業ですよね。それは本当にすごいなと。でも入り口は、「スマホでタクシーが来るんだよ」というサービス。おそらく多くの人にとっては、「だから何?」という話になりますからね。
山田:「ポチッとやったら、本を買えるだけのサービスでしょ」というのがアマゾンだった。そういうシンプルなところから始まるわけですね。
田中:そうです。本が売れるということは、あれもこれも売れるし、そうなればこうなっていくね、という具合にどんどん未来を想起して、その一発目に突っ込んでいく人と、本を売るためにホームページをつろうと思う人は、まったく違いますよね。
山田:新たにこの1年で始めた事業の中で、そういうような可能性を秘めていると考えているものはありますか?
田中:これ、というのは正直、まだないです。逆に、そういう大きなテーマ、今までインターネット業界じゃなかったような業界を、インターネット化させていくんだ、というテーマを決めていますので、それに取り組んでいます。
山田:領域は教育だったり、あるいは介護だったり、いろいろあると思うんですけど、どのあたりをまだインターネット化されていなくて、かつ自分がやるべき使命があるものだ、と考えていますか。
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