「グリーがやるべき事業領域がわかった!」 創業10年、過去・現在・未来を語る(3)

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田中:あれが指していることは、スマートフォン、イコールそれはインターネットの端末なわけですが、誰もがどこでもインターネットを使える時代になったときだけ、初めて成立するビジネスがある、ということです。その先には、スマートフォンである必要さえもないという時代が来るはずです。

だから逆に、これも数十年後に振り返ると、ネットビジネスという定義は、初めは情報系の、検索とか、音楽とか、デジタル化しやすいもの、あるいはニュースなどを指していたけど、最後の最後には全部、ネットビジネスになるわけです。そう考えると、必然的に、今までネットビジネスじゃないと思われていた領域がネットビジネス化していくわけです。そういうことが、これから10年ぐらい来るなと思っていて、そういうところを次はこじ開けて、新しいマーケットをつくりたいなと思っています。

山田:そのへんがホテルの予約サイト「Tonight」のような新事業になるわけですね。

田中:そうです。今、いろいろやっているところです。ただ、うちの会社としては、やりながら考えているところがあります。正直、うちの会社としては、やっぱりモバイルのゲームの成功が非常に大きかったわけですし、今は、収益としてもすごく大きいわけです。もともとは別にモバイルゲームだけとか、ソーシャルネットワークだけをやる会社じゃないにしても、今は会社全体がある意味、慣れちゃっているところがあるので。

筋トレからやり直す

山田:会社の体質がゲームをつくることに最適化した形になっているんですね。

田中:そうなんですよ。だからそれをもう一回、筋トレをしています。モバイルゲーム以外の事業もできるように、ちょっと筋トレからやり直さないといけないなと思っていまして、ちょうど1年ぐらい前から、いろんな事業を考え始めて、本当に何が成功するかわからないけど、まずやってみよう、という気軽な気持ちでやり始めています。

モバイルゲームぐらい成功するのか? ということで始めちゃうと、まったく着手できなくなっちゃうので、失敗してもいいから、やってみようよという感じの新規事業のチームにつくり直す必要がある。それをちょうど1年ぐらい前から始めました。

山田:Smart News(スマートニュース)には出資しました。出資するという形でやるもの、自前で新規事業としてやるものがあると思いますが、その分け方はどんなふうに考えていますか。

田中:他社さんがやっていて、これが一番いいなとか、これに並ぶものはつくれないなと思ったら、それはもう出資・提携という道しかないですし、これは自分たちでやったほうがうまくいく、と思ったら自分たちでやるでしょうし。

山田:おそらくスマートニュースに出資しようと思ったときに、社内のエンジニアからは、「このぐらい自分たちでもつくれちゃいますよ」という意見も出てきますよね。

田中:物理的につくるのは可能ですけれども。でも、知見とかも含めて同じレベルのものをつくるのは簡単なことではないと思いますね。

山田:ウーバーに刺激を受けた、というようなときに、彼らとうまく交渉をして合弁で日本法人をつくったりとか、そういうタイムマシン経営もあり得るわけです。そうではなくて、自分たちでオリジナルのものをつくりたい、という思いが強いですか。シリコンバレーで成功しているものをインプリメンテーョンすることには興味ないですか。

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