「グリーがやるべき事業領域がわかった!」 創業10年、過去・現在・未来を語る(3)
田中:アメリカのサービスを研究するのはアリだと思うんですけど、その会社と資本的につながっていくかどうかは、また別問題です。中国とか韓国とかアメリカとか、それぞれの国ではやっているものを日本なりにカスタマイズして始めるというのは、重要な手法なので、それはやりますけれども。たぶん飲食業界では、それが普通のことですよね。みんな、飲食業界の人はニューヨークに行って、はやっているお店を見て、これを、じゃあ日本に持ってこようって考えているわけですから。
山田:アマゾンは2000年代の中盤までずっと赤字だった。赤字を出し続けながら、拡大だけをやってきたわけです。で、今でも利益率1%ギリギリでやっている。そして株主への手紙には、毎年、「まだ1日目が始まったばかり」ということを書いている。配当をするんじゃなくて、全部、顧客に還元しますというビジネスで株主を納得させてしまった。一方でアップルは利益率が30%以上あるわけです。彼らは利益を最大化させて、それを株主に還元している。
どちらが楽かといえば、アマゾンのほうが楽ですよね。1回、高く稼いじゃった会社は、利益率を維持するのが大変ですよ。グリーの場合、まさにそうですよね。
アナリストのレポートを見ても、グリーはもっとリストラの余地ありと指摘されている。目標株価もあんまり高くない。稼いでしまったがゆえの呪縛です。
田中さんは、今後やるビジネスを考えるときに、利益率1%程度のビジネスだと、それはできないわけですよね。
ネットならではの新しい価値で世の中を変えていく
田中:私が思っていること、もしくは経営において大切にしていることは、このカードにも書いていますけど、何かサービスをつくって、インターネットならではの新しい価値で世の中を変えていく、ということです。多くの人に使ってもらうことが一番重要だと思っています。その意味では、今のモバイルゲーム1つ取っても、世界中で数千万人レベルの人が、僕たちがつくったものを使ってくれているわけなので、そういう意味では大きなインパクトを与えたなと思っているんです。
同時に企業としては、大きな収益を上げていくことが、当然、上場企業としても絶対的に必要だなとは思っているので、だからこそ、収益を上げていかなければいけない。収益を上げることで新しい投資もできるし、資金が必要であればファイナンスもできる。アマゾンぐらい飛び抜けていれば、また別なんでしょうけど、普通に考えれば実際に利益を上げていなければ、そんなことをできないわけなので、そういった意味では、収益を上げることも企業にとってすごく重要なことだと思うので、世の中を変える、収益を伸ばす、という2つのことを同時にやることを大切にしていますね。
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