(第30回)就職活動のルールが変わると、学生時代の学び方はどう変わる?(その2)

 そうすると、学生時代の学び方は次のように変わるだろう。

 1.単位の取り方が変わる
 2.転部・転校・留学する学生が増える

 学生が早い段階からインターンシップやセミナーを通じて企業や仕事と触れ合うとする。そうすると、より自分に必要な授業、将来に役立つ授業を積極的に取るようになるだろう。これが単位の取り方が変わるということだ。以前のコラムで述べたように、1つひとつの単位を意識して取ることで、将来も就職も実りあるものになる。
 また、社会を知ることで、自分の学問の選択と将来のキャリアが結び付かないと知った学生は、勇気を出して転部や転校、留学の可能性を探るようになるだろう。

 インターンシップというものになじみがない年配の読者の方々には、「体験できるインターンシップは通常は1つから2つ。多くて3つから4つ。それで将来のキャリアを考えるに当たって十分な経験・影響があるのか」と考えられる人もいるだろう。
 確かに、1週間から数カ月にわたる中長期のインターンシップに関しては、大学時代に経験することができるインターンシップはそれぐらいの数にとどまる。ただし、これには企業が主催する、オープンセミナーや1dayインターンシップと呼ばれる、1日から2日で終了するタイプは含まれていない。多くの学生はこれらの参加しやすい短期間のセミナーやインターンシップに参加し、興味のある業界や仕事を絞り込んでから中長期のインターンシップに参加する。社会や仕事を理解するのに有用なこれらのセミナーも含めると、学生が知ることができる仕事や企業の数は何倍にも膨れ上がる。将来の専門分野の選択、進路選択の参考にするには十分な経験になるのではないだろうか(今のところ、これらのセミナーの開催時期が、大学3年、院1年の時期に集中してしまっているのは残念ではあるが)。

 こうして、将来の仕事とリンクしない、単位は取ることができるが中身のない授業は取る必要性が減り、淘汰されていく。真剣にカリキュラムを選ぶ学生が増えれば増えるほど、大学としては他校との差別化に熱心にならざるをえず、より特色ある授業づくりを目指すようになる。中長期的に見ると、大学は淘汰・選別され、質の向上が果たされる。

 学業と就職活動(あるいはキャリアについて考える活動)は本来対立する概念ではなく、相互に補完し、好ましい未来を描ける関係にある。採用業者・企業・大学は、今後そのことをより一層意識し、動かねばならない。

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福井信英(ふくい・のぶひで)
慶應義塾大学商学部卒。株式会社ジョブウェブの事業部長として、数十社の採用コンサルティング及び、各種リサーチ、教育研修コンテンツの作成に取り組んだ後、独立。
現在は著述業ほか、複数のソーシャル・プロジェクトの実行を手掛ける。
ブログ:人と組織と、fukui's blog
Twitterアカウント: @fukui_dayo
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