そこで、低所得者にだけ税負担を軽減する給付を出すことで、格差是正の効果を強めることができる。消費税の軽減税率ではなく、給付措置の方が、格差是正に効果的であることは、拙稿「消費税軽減税率は、低所得者対策にならない」(2014年6月2日付)でも詳述したところである。
欧米諸国で進む、所得控除から税額控除への転換
加えて、日本では、拙稿「所得税改革は、『配偶者控除』だけではない 『103万円論議』の先にある大切なこと」(2014年10月6日付)でも述べたように、所得税制において所得控除をやめて税額控除に転換することが、格差是正に効果的である。
高所得者も低所得者も同額の所得控除を与えれば、累進所得税制では、高所得者の方が税負担軽減効果がより大きくなる。それでは、累進課税を強化してものれんに腕押しである。だから、累進課税を強化する以前の問題として、所得控除を税額控除に転換するだけで、格差是正効果はより強くなる。
欧米諸国では、すでにこれを踏まえて、税額控除化が進んでいる。日本では、未着手である。所得控除から税額控除への転換を、全員への所得税増税と勘違いしてはならない。低所得者への税負担軽減効果を変えずに、高所得者への税負担軽減効果だけを減らすことにすれば、低所得者は増税にならないようにでき、格差是正効果も強められる。
衆議院選挙やピケティ教授の著作の邦訳刊行などで、格差問題が政治的にもクローズアップされたならば、消費税率が再び引き上げられるまでの間、所得税改革がひょっとすると脚光を浴びることになるのかもしれない。
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