東急ハンズ、アジアで大ブレイクの予兆 「コップのフチ子」が大ヒット、支持される日本流

✎ 1〜 ✎ 25 ✎ 26 ✎ 27 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

真っ先に難しいと感じたのが、商品供給面での制約だ。例えばある商品が想定外の売れ行きを見せ、品薄になった場合、海外ということもあり対応が遅れがちになる。すなわち、中小の取引先も多く、急な大量発注への対応が難しかったり、輸出入手続き、輸送に時間がかってしまうのだ。

仕入れや陳列にも工夫が必要なことを実感した。他店でも店舗や商品の入れ替わりが激しいシンガポールでは、商品を常に入れ替えていかなければ、すぐに飽きられてしまう。

日本には四季があり、夏には冷水筒、冬には鍋、といったように、自然な形で消費が刺激されることもあるが、シンガポールはいってみれば年中夏だ。自らが仕掛け、発信して売り上げを創造する必要がある。ハンズでは、この点を学習、すでに新たな企画に着手しているという。

当面の目標は、スタッフの経験が浅いということもあり、店舗の運営オペレーションをしっかり定着させていくことだ。安定感が出てくれば、数字は後からついてくる、というのがハンズの見立てだ。

東南アジアでショッピングモールを変える可能性

東急ハンズ 海外事業部の辻武徳マネージャー。「既存の東南アジアのショッピングモールを変える可能性を秘める」と力が入る(2号店で)

実際、1号店の客足は順調で、月間の来店客は3万人程度。面積あたりの売り上げでは、ハンズの日本の都心店舗を除くと標準を上回る。店舗は今後も随時増やしていく考えだ。最後に、辻マネージャーに話してもらった。

「より広い視野で見たときに、ハンズは既存の東南アジアのショッピングモールへの刺激を与える可能性を秘めている。徐々に変わりつつあるとはいえ、東南アジアの主要都市には、似たようなモールが立ち並ぶ。グローバル展開の高級ブランドや、ファストファッションブランド、ファストフード店ばかりで代わり映えしない。だから、ハンズのような、編集が加えられた店舗は、来店客の目に新鮮に映るはずだ。その意味でハンズは今後大きな可能性を秘めていると思う」。

岡 徳之 ライター Noriyuki Oka Tokyo 代表取締役

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

おか のりゆき

1986 年長崎県出身。慶應義塾大学経済学部卒業後、PR 会社ビルコムで2 年4 ヶ月勤務。2011 年8 月に企業PR・ウェブ企画開発・編集ライティングを専門分野として開業。現在はシンガポールを拠点に事業運営に携わる。国内大手企業のウェブプロモーション業務に従事する傍ら、CNET Japan やITmedia など国内の有力ニュースサイトを中心に10 数媒体で執筆を担当。ライターとしての専門領域はIT・ビジネス・マーケティング・クリエイティブ・ライフ・グルメ・人物インタビューなど多岐に渡る。事業会社が運営する自社メディアでの編集ライティング案件にも携わる。異なる専門領域を持つフリーライターと連係し、編集プロダクション的機能も果たす。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事