真っ先に難しいと感じたのが、商品供給面での制約だ。例えばある商品が想定外の売れ行きを見せ、品薄になった場合、海外ということもあり対応が遅れがちになる。すなわち、中小の取引先も多く、急な大量発注への対応が難しかったり、輸出入手続き、輸送に時間がかってしまうのだ。
仕入れや陳列にも工夫が必要なことを実感した。他店でも店舗や商品の入れ替わりが激しいシンガポールでは、商品を常に入れ替えていかなければ、すぐに飽きられてしまう。
日本には四季があり、夏には冷水筒、冬には鍋、といったように、自然な形で消費が刺激されることもあるが、シンガポールはいってみれば年中夏だ。自らが仕掛け、発信して売り上げを創造する必要がある。ハンズでは、この点を学習、すでに新たな企画に着手しているという。
当面の目標は、スタッフの経験が浅いということもあり、店舗の運営オペレーションをしっかり定着させていくことだ。安定感が出てくれば、数字は後からついてくる、というのがハンズの見立てだ。
東南アジアでショッピングモールを変える可能性
実際、1号店の客足は順調で、月間の来店客は3万人程度。面積あたりの売り上げでは、ハンズの日本の都心店舗を除くと標準を上回る。店舗は今後も随時増やしていく考えだ。最後に、辻マネージャーに話してもらった。
「より広い視野で見たときに、ハンズは既存の東南アジアのショッピングモールへの刺激を与える可能性を秘めている。徐々に変わりつつあるとはいえ、東南アジアの主要都市には、似たようなモールが立ち並ぶ。グローバル展開の高級ブランドや、ファストファッションブランド、ファストフード店ばかりで代わり映えしない。だから、ハンズのような、編集が加えられた店舗は、来店客の目に新鮮に映るはずだ。その意味でハンズは今後大きな可能性を秘めていると思う」。
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