東急ハンズとして、どんな商品を仕入れて陳列するべきか。この「バイイング」の基準は、これは結局、「日本の東急ハンズらしさを訴求できるか」で選ぶという。そこに、気候、文化、生活習慣など現地の事情を考慮しながらアレンジしていく。
ハンズによると、シンガポール進出時にアプローチした、日本のブランドの多くからポジティブな反応が返ってきたという。実は、2012年に中国に進出(ハンズとして海外1号店)した際には、「現地のメーカーにすぐに真似されてしまうのでは」という懸念から、仕入れ先のメーカーは、ネガティブな反応を示すところが少なくなかった。だが、今回は違った。
潜在需要大きい化粧品関連
実際、ハンズと取引しているメーカーには、手ごたえを感じている企業が少なくない。例えば、1号店で最も売れているのは、肌触りが抜群になめらかな洗顔ブラシだ。ブラシ1本につき、29万本もの毛がついており、職人がその毛先を削っているので、顔をなでると気持ちがいい。
シンガポールをはじめ、南国は紫外線が強く、肌のケアが日本よりも必要なため、潜在的な需要は大きそうだ。
このメーカーは、すでに上海の東急ハンズにもすでに進出しており、海外の顧客にも受け入れられていることを実感しているという。
実は、ハンズはシンガポールに進出する前に、4度のテストマーケティングを、伊勢丹や高島屋など、日系の百貨店内に期間限定のポップアップストアを設けて行った。そのときにも、どのような商品、価格帯のものが売れるのかを確認し、オペレーションを円滑に行うための策を探った。
だが、やはり箱庭のような実験店に出店して得られたデータでは限界があったようだ。実際に出店すると、テストではわからなかった課題が次々と明らかになってきたという。
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