幸楽苑「290円ラーメン」販売中止の衝撃 高単価路線への転換で大勝負へ
そもそも同社は、西日本地区での出店には苦い思いを抱いてきた。大市場である京都や大阪では9月末現在、8店舗を展開しているが、これまで黒字店が少なく、退店を繰り返してきた状況にある。
岡山県限定ラーメン投入に際しては、現地で嗜好調査を実施。麺は同社が通常使っている太麺ではなく、中細麺が人気で、みそ味は敬遠されることがわかった。これまで味や麺は全国統一で展開してきたが、岡山県限定ラーメンで初めてその“禁”を破った形だ。
注文率は高水準をキープ
岡山県限定の「醤油らーめん」は10月20日にオープンした倉敷四十瀬店で520円(税抜き)という高単価で販売を開始。すると、限定ラーメンの注文率(1店舗内の全メニューのうち、当該商品が注文された比率)が開店当初は50%を記録。その後の約1カ月も47%の高水準を維持している。
同店では客単価も730円に上がった。同社直営店の平均単価が620~630円なのと比べると、100円以上も単価で高い。そこで、北海道をはじめとした他地域の店にも試験導入したところ、評判は上々。社内でも「今まで食べたどのラーメンよりもおいしい」と高評価だったという。
方針大転換のもう1つの理由が、昨今の食材費・電力料・人件費の3大コスト増だ。2014年度第2四半期(4~9月期)実績でも、人件費が前年同期比1.8%増、光熱費が同5%も増加するなど、利益を圧迫している。この経営環境下では290円の価格で中華そばを提供していくのは困難だと踏んだ。
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