調達対策だけでなく交渉カードを使う必要も


 次の対策は、レアアースの使用量削減や循環などで、すでに生産現場では始まっている。このほか、国家備蓄や代替材料の開発が検討課題になる。

経済産業省はレアアース対策を実現するため、10年度補正予算で1000億円の予算を計上する方向だ。

産業廃棄物にかかわる法律を改正して、レアアースを含む廃棄物を「都市鉱山」として備蓄し、供給危機が起きたときにはリサイクルできるシステムを整備することも、これからの日本の資源問題を考えるうえで避けて通れない課題だ。

たとえば、斜めドラムの洗濯機、省エネエアコンの室外機、HDD、携帯電話、自動車の省エネモーターなどにはレアアースが含まれている。法律改正やコスト問題、リサイクル技術の確立などハードルは高いが、日本の廃棄物から貴金属だけではなく、レアアースを回収することは有効な対策となる。

09年からレアアース危機に警鐘を鳴らしてきた平沼光・東京財団研究員は、「国が実施しようとするレアアース対策は意味がある。だが、より広い視野で対策を考えないと、もぐらたたきになるおそれがある」と指摘する。

レアアースだけではなく、タングステンなど中国に依存するレアメタルは多いからだ。

平沼氏の提言は、「日本が中国との交渉力とカードを持つこと」である。日本の交渉は「お願い」になりがちだが、これが効果がないことは実証済みである。交渉カードとしては、日本の持つ技術力などが考えられる。「こうしたカードを使って包括的に交渉する」(平沼氏)ことが求められる。

(シニアライター:内田通夫 =週刊東洋経済2010年11月27日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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