写真配信のゲッティ、「破壊と創造」の舞台裏 右クリックで保存可能な時代の収益化とは?
――ドイツのスタートアップ、「EyeEm」(アイエム)とも提携していると聞いたが。
アイエムは、約5000人の写真好きが集まるコミュニティだ。米インスタグラムに似ているが、会員が送ってきた写真をそのまま掲載するのではなく、選別し、編集するため、質が高い。
すばらしい写真が撮れたとき、売ってみたいと思わないだろうか?そこで、私たちはアイエムの写真を私たちの販売ネットワークを通じて売っている。現在までに10万点の写真を販売した。
東京五輪へ向けて
――日本でのパートナーシップとしては、共同通信とNHKの例が報道された。昨年、ゲッティ社の報道写真を共同通信社が日本国内で配信できるようになり、今年7月には、共同通信社が加盟社と契約放送局に配信した報道用の映像コンテンツをゲッティ社を通じて世界で販売する契約を締結している。背景は?
ゲッティのコンテンツの質の高さを理解して欲しかった。時間がかかったが、ここまでの提携にこぎつけた。2012年のロンドン五輪で協力関係ができた。
私たちは五輪の公式写真メディアとして14回の経験を持つ。2020年に五輪が東京で開催されるとき、共同は地元の通信社となるので、さらに密接に協力できることを期待している。
――今年8月からは、ゲッティ社はNHKの自然・動物、風景、文化、歴史映像をはじめ、ニュースやイベントなどの動画を提供する「NHKビデオバンク」のサービスを開始しているが。
これに先立ち、英国放送協会(BBC)の動画アーカイブを提供する「BBCモーション・ギャラリー」サービスを始めている。これが大きな成功となり、ほかの大きな公共放送を探した。白羽の矢がたったのはNHKだった。NHKにはたくさんのすばらしい品質の動画素材がある。
――なぜゲッティが選ばれたのか。
主な理由はプラットフォームを持っているからだろう。洗練されたコンテンツを取り込み、どこで使われているかを追跡し、コンテンツを提供するNHKに支払いをし、受け取った分をシェアできる技術上のプラットフォームを持っている。
NHKのコンテンツを約140万の顧客が目にする。700人の販売及び顧客管理スタッフが欲しいコンテンツを探すのを手伝う。創業から20年で、このプラットフォームやマーケティングの人材を築き上げた。
――これほど大きくなると、価格を独占的に決めるなどの危険性が出てこないだろうか。
そうであって欲しいものだが、実際には自分たちだけで決めることはできない。市場が価格を決めている。
――将来の課題は?
まず第1に動画だ。2番目は国際化。ビジネスの50%が米国の外だ。この比率をもっと高めたい。中国、日本、中東などで拡大したい。
消費者市場にも力を入れたい。メディア企業が自社に写真や動画を制作する人を置かず、アウトソーシングする比率はこれからも増えるだろうから、ゲッティの出番が増える。
――クリエイティブな職業は今後も報酬を得ることができるだろうか。
私が息をしている限りはね。ジャーナリスト、音楽家、写真家、ビデオ作家などはおカネを稼ぎ続けるだろう。ただ、これまでと同レベルの収入ではなくなるかもしれないが・・・。
大手米テック企業が自前のコンテンツの制作を始めている。コンテンツの流通経路を確保した後、他と差をつけるのはコンテンツだと知っているからだろう。コンテンツの重要さは今後も減じない。
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