写真配信のゲッティ、「破壊と創造」の舞台裏 右クリックで保存可能な時代の収益化とは?

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「ウェブ・サミット」でゲッティ・イメージズの変化を語る同社CEOジョナサン・クライン氏(Web Summit提供)

――写真や動画を人々が無料でシェアすれば、ゲッティは収入を得ることができないのでは?

私たちが最初に写真をオンラインで提供したとき、問いかけをした。オンライン上に出した写真を人々が右クリックして保存できるようにするべきかどうか、と。学校の授業で使う人もいるかもしれないし、グリーティングカードを作る人もいるかもしれない。そうした行動を止めさせるようにするべきか、と。

結果的に、私たちは停止の方向には動かないことにした。どうせ利用料の回収は不可能だろう、と。

現在もその決定は変わらない。人々がプライベートで写真などを無料で保存したりシェアするのはかまわない。非商業目的で写真を使う場合、利用者からはおカネをとらない。しかし、いつかは何らかの形で収入を得るだろう。シェアがある一定のレベルにまで広がり、十分な規模のオーディエンスになったら、このオーディエンスにリーチするためにおカネを払うという広告主も出てくるだろう。

新しい写真共有サービスを開始

――今年3月、ゲッティは、非商用目的で写真をブログやウェブサイトに無料で埋め込み、ソーシャルメディアで共有できるサービスを開始した。5000万点以上の写真素材が対象だ。サービス開始の理由は?

世界で写真のシェアが進んでいるからだ。何百万枚もの写真がフェイスブック、ツイッターにアップロードされている。無料で使い、シェアする行為を止めることはできない。埋め込みを解禁することで、消費者ブランドを時間をかけて築き上げようと思っている。サービス開始から8カ月で、10億のビューを記録した。

――気に入った画像をカタログ化したり、シェアしたりする「ピンタレスト」との提携の背景は?

私たちは、自社の写真が「どこでどんな風に使われたか」を把握するテクノロジーを持っている。そこで、ピンタレストに対し、コミュニティの利用者が使っている写真の大部分がゲッティの写真であると伝え、どこで何回使われたかのデータを示した。利用を許可するとともに、その写真が何回ダウンロードされたかなどのデータを提供することでピンタレストから対価をもらうようにした。受領した金額を写真の撮影者とシェアする仕組みだ。

こういう取引は今までになかったと思う。フェイスブックが同様の仕組みに応じることを望んでいる。いつかは。最終的には、撮影した人になんらかの形でおカネがまわるようにしたい。写真家にとっては飯の種なのだから。

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