写真配信のゲッティ、「破壊と創造」の舞台裏

右クリックで保存可能な時代の収益化とは?

インターネットを導入すれば、すべての情報をネット上に出しておける。オフィスをたくさん持つ必要はなくなるし、何千枚もの写真を物理的に保管する必要もなくなる。テクノロジーを駆使して適正価格をはじき出せる。結果として、利益率が高くなった。ゲッティは、1990年代末には誰よりも先にオンラインで写真の販売を開始した。

――ネット時代には誰もが簡単に写真を撮り、デジタル空間で公開できる。アップロードされた写真はサイト上で複製も簡単だ。どう対応しているのか。

ジョナサン・クライン(Jonathan Klein)●1960年南アフリカ・ヨハネスブルク生まれ。英ケンブリッジ大学で法学修士号取得。1995年、英ビジネスマン、マーク・ゲッティ氏(現会長)とともにゲッティ・イメージズを共同創業した。創業時から現在までCEO。米「ファーストカンパニー」社が選ぶ「今後10年間で私たちの働き方や生き方を変えるビジネス・リーダー」のひとり。

その質問には冗談めいた答えとまじめな答えで説明したい。で、あなたはジャーナリストである、ということだね?

――そうだ。

あなたのボールペンを借りてもいいだろうか?

――どうぞ。

(ペンを握り締めた格好で)さあ、これで私はジャーナリストだろうか?

――そうは言えないですね。

つまり、カメラつき電話を持っているからといって、写真家になるわけではない。機材が誰にでも使える、簡単に使えるということは、みんなが商業的に売れるような写真を撮れる事を意味しない。プロのコンテンツを提供するゲッティのビジネスの存在価値がある。

画像の氾濫―避けられない現実

――しかし、写真がネット市場に氾濫しだしたとき、ゲッティ社にとって脅威になるとは思わなかったのか。

最初はそう思った。その後、私たちには選択肢がないことがわかった。画像の氾濫は現在、実際に起きていることだ。だから、この変化をもろ手で受け止めようと思った。ごく少数の人が写真を撮り、これを高価で顧客に販売する形から、巨大な数の写真が低価格で、広い範囲の人に提供される時代に変わったのだ。

そこでゲッティ社のビジネスは2つの分野に分かれた。ひとつはプロが撮った、高品質の写真を提供するビジネスだ。広告、ニュース、スポーツ、娯楽用だ。顧客数が大きく増えているわけではないが、コンテンツの点数が増えている。

もうひとつが100万人以上の顧客がいるビジネスだ。この部類の顧客は写真を日常品として使う。たとえば非常に小さな規模の広告代理店、小売店、サービス業など。飛び切り最高の写真ではなくてもかまわない。このビジネス用にはアマチュアからたくさん写真を取得し、より低い価格帯で販売している。2つのビジネスはサービス、顧客ベース、価格の面で異なる。

後者の需要を満たすため写真投稿サイト、フリッカーと提携している。オンライン画像のマーケットサイト「iStock(アイストック)」も傘下にある。アイストックは世界180カ国の2000人以上の写真家たちが撮影した、地域に根ざした写真を低価格で提供している。

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