モバイル革命は、100年で3度目の大変革だ 起こりつつある「E2E経済」の衝撃
「共生的」とは、共同設計、共同生産、共同意思決定といった生産活動において、個人がより大きな役割を果たすことを指します。現在開発が進められている表皮電子システムは、一つの代表的な事例といえるでしょう。「第2の皮膚」ともいえるこの電子回路は、ユーザーの認知状態を認識し、事故や病気などで失われてしまった身体機能を再生する目的で神経回路に刺激を与えることができます。この電子回路を応用することで、手足の外部制御や発話の補助などが可能となります。ユーザーの脳・神経から発せられる情報をデジタル化し、それを受けた電子回路が直接、各神経に刺激を与えて身体を動かすという点で、リアルとデジタルの境界が取り払われる時代となります。
「状況に適合」とは、顧客ニーズの内容・時期・場所といった状況に応じて、最適な価値(体験や機能、プロセス他)を現場で即座に提供することを指します。ここでいう「状況」には、個人の属性や位置情報のみならず、家族構成や業務内容、健康履歴といった様々な条件が反映されます。例えば、小売、医療、旅行などの業界が、将来きわめて状況に適合した体験を提供するようになることが期待されます。
「認知的(コグニティブ)」とは、意思決定支援やアドバイスに使うための、予測、学習、推論といったコンピューティング能力の知能性を指します。現在コグニティブ技術を利用したIBMのWatson(以下、ワトソン)は、がんをはじめとする医療分野での意思決定を支援しています。ワトソンの認知能力(コグニティブ技術)、大量文書・データの取込み、成功と失敗からの継続的な自動学習能力は、その他の分野においても幅広く利用できます。
E2E経済のこれらの要素が融合することで、これまでの経済や日常生活とは大きく異なる世界が誕生するでしょう。そして、私生活であれ、ビジネス環境であれ、モバイルがその世界の営みにとって中心的役割を果たすことになります。
10年後、世界は激変している
手のひらサイズから、ウェアラブル、人体の一部として機能するものまで、モバイル機器が、あらゆる行動や選択において状況に適合した認知的な意思決定を可能にします。
この新たに誕生した環境は綿密に調整され、明示的または暗黙的に、高度なエコシステムの実現に必要な相互運用性と連携をもたらすでしょう。そして、組織に対する人々の影響力が一層強まることで、顧客、従業員、あるいは市民のニーズや行動に対する組織サイドの即応性が高まることが予想されます。
世界は急速に変化しており、その変化の中心にはさまざまなテクノロジーが存在します。10年後には、人々の相互作用や関わり方が今とはまったく異なるものとなるはずです。さらに、企業であれ、行政機関であれ、教育機関であれ、組織のあり方も大きく変わるでしょう。なぜなら、組織のあらゆる意思決定に対して、顧客が従来よりも深い関わり・影響力をもって参画してくる時代になるからです。
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