デニムの神様が語るユニクロデニム「凄さ」の本質 デニム生地最大手と古くから協業し、研究開発

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まずはSDGsとは何かという話になりますが、これは「Sustainable Development Goals」の略で、意味としては「持続可能な開発目標」ということだそうです。ちょっと難解な言葉ですが、平たく言うと貧困や飢餓の撲滅、ジェンダーの平等、環境の保護、労働環境の整備など、2015年に国連サミットで採択されて翌年からスタートした、未来の人間と地球のために2030年までに達成すべき17の目標のことです。

今でこそSDGsは、そこかしこで耳にし目にするようになりましたが、私は最初いったい何を意味している言葉なのかわかっていませんでした。最近では私自身がブランドのデニムコレクションをプロデュースさせていただく機会が増えたことなどもあって、その意味や内容をようやく理解しつつあります。

そもそも新品のデニムを製造する際、ほとんどのブランドではケミカルな薬品を多用し大量の水を必要とすることから、これまでその製造方法は環境に悪影響を与えていました。

最近では水量を減らす、または使用した水を再利用できる仕組みを整えたり、加工をする際に出てしまった端切れを使いデニムを再構築する、また生地を作る際はリサイクルコットンを、そして染色をする際はオーガニック染料を使用するなどエコな取り組みをしています。

現在では「リーバイスⓇ」など、デニムに主力を置くブランドのみならず、ヨーロッパの諸国の老舗メゾンがこぞってサスティナブルを意識した服作りを展開しているのです。

ちなみに、「ユニクロ」がジーンズイノベーションセンターを創設したことは前述しましたが、その理由として、クオリティの高い独自のオリジナルデニムを開発するということはもちろん、いかに環境に配慮しつつデニムを製造するかということにも重きを置いているのです。

『日本人が見出したヴィンテージの価値 教養としてのデニム』(KADOKAWA) 。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

そういったわけで、サスティナブルが叫ばれる以前もデニム業界ではそれなりに人や環境に配慮したものづくりを展開してきたと思いますが、現在では今まで以上に徹底されているように感じます。しかもその技術力は、日進月歩で進化を遂げています。優れた品質はそのままに、環境に優しいデニムが作られているというまさに激変の最中にある現在のデニム業界、今後の動向が見逃せません。

昨今のヴィンテージブームの後押しもあって、100年近く前に作られたデニムがファッションアイテムとして未だに穿かれたり、着用し続けられているという意味では、ヴィンテージデニムは究極のサスティナブルなものであると、海外では解釈する声もあると耳にします。

確かにそういう解釈もあると思いますが、個人的にヴィンテージデニムはそういった社会性を担った類いのものではなく、純粋にアンティークの絵画や彫刻といったアートの側面を持ち、着用することで初めて意味をなす衣服であるという面を備えた、世界で唯一無二の着られる芸術作品であるという認識を持っています。

藤原 裕 「BerBerJin」ディレクター

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ふじはら・ゆたか / Yutaka Fujihara

1977年、高知県生まれ。原宿の老舗古着店「BerBerJin」ディレクター。別の名を”デニムに人生を捧げる男”。店頭に立つかたわら、ヴィンテージデニムアドバイザーとして人気ブランドの商品プロデュースやセレブリティのスタイリング、YouTube配信やメディアでの連載など、多岐にわたりデニム産業全般に携わる。マニアからの信頼も厚い、近年ヴィンテージブームの立役者。
YouTube:https://www.youtube.com/c/v-d-a-f-501xx/
Instagram:https://www.instagram.com/yuttan1977/
HP:https://berberjin.com/
 

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