40歳を前に「卵子凍結」した女性の偽らざる本音 費用やリスクを理解し納得することが大切だ

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卵子凍結はもともと、がん治療で卵巣機能が低下する患者が、治療前に卵子を温存する手段として用いられてきた。だが近年、女性の社会進出に伴う出産年齢の上昇や、不妊治療の技術の進歩を受け、健康な女性でも卵子凍結を行うことができるようになっている。

アメリカのCDC(疾病対策センター)の研究結果では、母体の年齢が上がっても卵子の年齢が若ければ妊娠率は高まるとされている。実際にアメリカではメタ(旧フェイスブック)やアップルが会社の福利厚生として卵子凍結を行う社員を支援し、広がりを見せている。

日本では2013年に日本生殖医学会がガイドラインを発表。採卵時の年齢の制限などに言及しつつ、事実上は健康な女性の卵子凍結を認めている。

卵子凍結の治療総数は2013年に15周期*だったが、ガイドライン発表後急速に増え、2019年には723周期となった。
*周期とは、「月経周期(約28日間)」を指す。1人当たり年間に何回治療を行うかはまちまちであるため、人数でカウントせず、生殖医療の分野ではこの単位が用いられている

(外部配信先では図や画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

メルカリも費用を支援

大手フリマアプリなどを運営する「メルカリ」は、2021年4月に福利厚生の1つとして試験的に卵子凍結の支援を行うと発表した。1子当たり200万円を上限として、検査や採卵などの卵子凍結にかかる費用を支給する。

【2022年3月29日15時30分 追記】記事初出時、一部記述に誤りがあったため修正しました。

制度の開始に伴い、社内では専門医を招いた勉強会を実施。正しい知識とセットで利用してもらうことを目指した。また会社側が卵子凍結を推奨している、というメッセージを出すことにならないよう、あくまで1つの選択肢であることを強調した。

同社People Experience Team Managerの幸野俊平さんは、「個人の力では乗り越えられない社会的な課題に対して、社員やその家族の不安を軽減する支援を提供するのが会社の想いです」と話す。制度開始から約1年が経ち、複数の社員の利用があった。

メルカリの幸野俊平さん(写真:筆者撮影)
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