40歳を前に「卵子凍結」した女性の偽らざる本音 費用やリスクを理解し納得することが大切だ

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卵子凍結の流れはほぼ体外受精と同じだ。血液検査や超音波検査を行った後、本来は一度の周期で1つしか排卵されない卵子を複数採取するため、内服薬や注射によって排卵誘発をして体内で卵胞を育てる。卵胞が成長したら、手術で膣の内側から針を刺し、卵巣内の卵子を吸い出す。手術は局所麻酔か全身麻酔をかけて、15分ほどで終わる。

体外受精の場合は卵子を精子と受精させ、受精卵にしてから凍結するが、卵子凍結は未受精卵の状態で凍結する。

身体的なリスクは、大きく分けて2つある。1つは排卵誘発剤による副作用。お腹や胸が張ったり、気持ちが悪くなったりする人もいる。もう1つは卵巣への刺激によって、卵巣が腫れて痛んだり、お腹や胸に水が溜まったりする「卵巣過剰刺激症候群」だ。まれだが、とくに卵子が多くとれる若い女性が発症しやすい。

Aさんが卵子凍結の中で負担を感じたのは、自ら打つ注射だ。クリニックに通う必要はなかったものの、自宅で2週間弱にわたり連日打つ必要があった。お腹などの皮下脂肪をつまみ、そこに細い針を刺すので痛みは少ない。Aさんもほとんど痛くはなかったものの、最初は針を刺すのが怖かったという。

採卵当日は、局所麻酔の鈍く痛むような感覚に恐怖感を抱き、汗が止まらなくなった。手術は無事に終わったが、意識が遠のくまま看護師に抱えられるようにして手術室を出た。

「お守り程度」の安心感

最終的にAさんは7個の卵子を採取し、うち6個を凍結保存している。金額は検査や手術、麻酔費用を含めて合計44万円ほどだった。それに加え、今後も年間6万円の保管料がかかる。5年間保管するとしたら、追加の費用は30万円だ。

卵子凍結の費用は、クリニックによっても、実際に採れた卵子の数によっても異なる。卵子がいくつ採れるかは、実際に採卵してからでないとわからない。そのため、正確な金額を予測できないのが難点だ。

Aさんは年に1度、凍結卵子の請求書が来ることで卵子凍結のことを思い出すという。まだ妊娠の予定はない。費用面や心身への負担を考えると、「誰にでも気軽に勧めることはできない」というが、「少しでも可能性を残しておくことには、『お守り程度』の安心感はある」と話した。

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