医学的に、女性が最もリスクの少ない状態で出産できるのは、20代半ばから30代半ばだと言われている。だが、キャリアやプライベートが充実する時期とも重なるため、「今は出産のタイミングではない」と考えることもあるだろう。
女性が将来の妊娠に備え、若いときの卵子を保存しておくのが「卵子凍結」だ。出産を希望する時期がきたら、保存していた卵子を用いて妊娠につなげる。妊娠の可能性を将来に残しておく魔法の技術のようだが、もちろんリスクやデメリットもある。
4日連続特集「不妊治療は“ひとごと”ですか?」2日目第2回は、卵子凍結を考える人が「知っておくべき大切なこと」を日本での卵子凍結の現状とともに、お伝えする。
【2日目のそのほかの記事】(1日目の記事はこちらからご覧ください)
第1回:後悔しない「不妊治療の病院選び」ポイント5つ
第3回:不妊治療の人を襲う「よかれと思って暴言」の苦痛
第4回:「1年以内に閉経も」32歳女性が選んだ妊娠への道
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39歳で卵子凍結をしたAさんの例
現在42歳のAさんは、40歳の誕生日を目前に卵子凍結を決意した。20代のころは朝から晩まで働き、夜は会食の生活。30代でも仕事を大切にしてキャリアを築き上げてきた。結婚も経験したが、子どもは強く望むというより、成り行きにまかせていたという。
卵子凍結という選択があることは、30代のころに職場の先輩から聞いて知った。先輩は40代半ばでの不妊治療に苦労しており、「もし時間をさかのぼれるなら、絶対に卵子凍結をしていた」と言われたこともある。しかし当時は、あまり自分ごととは思えなかった。「なんとなく自然の摂理に反するような気もしていた」とAさんは話す。
だが40歳を前にした時、頭の片隅にあった卵子凍結が現実味を帯びてきた。年齢的なリミットを考えると、先延ばしにはできない。インターネットなどで情報を集め、卵子凍結を行うクリニックに連絡した。
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