「わが国の2021年の石炭生産量は前年より5.7%増加し、過去最高の41億3000万トンに達した。一方、2021年は91件の炭鉱事故が発生し、178人が亡くなった。その結果、生産量100万トン当たりの死亡者数は0.044人と前年より24%減少した」。3月14日、国家鉱山安全監察局の副局長を務める張昕氏は記者会見でそう述べた。
張氏の説明からわかるように、中国の炭鉱の安全管理は全体的には大きく改善している。2015年と2020年のデータを比較すると、炭鉱事故の発生件数は5年間で65.3%、死者数は62.4%、生産量100万トン当たりの死者数は64.2%、それぞれ減少した。
だが、財新記者の取材に応じた複数の関係者は、中国の炭鉱が長年抱えるさまざまな問題は「まだ完全には解消されていない」と指摘する。一部の炭鉱では現場の安全管理の甘さや、安全よりも利益を優先する経営姿勢が、重大事故の予防の妨げになっているからだ。
一部で安全意識や遵法精神が欠如
例えば最近、貴州省や雲南省で発生した炭鉱事故では、地元の企業や行政に安全意識の欠如や遵法精神の希薄さが見られ、法規違反の常態化や(安全管理の)チェック体制の力量不足などの問題が浮き彫りになった。
こうした実態の是正は、政府の監督当局にとって今なお重要な課題だ。冒頭の記者会見では、2月25日に貴州省の三河順勛炭鉱で14人が死亡した坑道天盤の崩落事故への対応について、(中央政府の)国務院安全生産委員会が「特別監督」を実施していることが明らかにされた。
監督当局は(石炭以外も含む)国内鉱山の安全管理を集中的に是正する特別対策を、2020年から3年計画で展開している。2022年はその最終年度にあたる。国家鉱山安全監察局によれば、国内のすべての鉱山をカバーする大規模検査を行ったところ、これまでに45万2000件の不備が見つかり、改善を施したという。
(財新記者:呉鴻瑤、覃建行)
※原文の配信は3月14日
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