東大教授「入試以外の方法でも学生を集めるべき」 オンライン授業がもたらす「大学激変」の可能性
オンライン化によって、大学は、いずれ不可逆的な変化を起こすと私は考えています。ルートができた以上、オンライン講座の開講は、なくなりはしないでしょう。
キャンパスに学生を戻すにしても、大学経営上、当然の方向性として、社会人向けのオンライン講座が始まると思います。理想は、既存の正規プログラムをすべて開放して、オンラインで受けられるようにすることですね。
卒業ではなく「単位取得」で能力を評価する
今は、卒業することが大事で、何の講座の単位を取ったのかは意味をなしていません。でも、「あの大学の、この講座の単位を取りました」ということが、その人の能力習得のステータスになるようなアンバンドリング化も起きるでしょう。
つまり、卒業にも意味はあるけれど、バラバラに単位が取れるようになっていくということです。実際、社会人では、卒業単位をフルで取得するのは難しいですよね。8割取っても卒業できず、履歴書は「中退」となる。もったいないと思います。
いずれは、「東京大学でこの単位を6割、京都大学でこの単位を4割取りました」というようなことも、その人の能力証明になる時代が訪れるのではないかと思っています。
そうなれば、企業も「うちに就職して、残りの単位は働きながらゆっくり取ってくれたらいいよ」となります。卒業しなければ就職させないという構造はなくなり、学びと仕事を、ライフシフト的なコンビネーションで、よりやりやすくなるでしょう。
そのような時代になると、当然ですが、大学の先生にも競争が生まれます。海外の大学では、すでにオンライン授業が公開されているところもあります。今は、自動翻訳がありますから、たとえば、私のミクロ経済学の講義を聞くよりも、ハーバード大学の有名な先生の講義のほうがずっと面白いよねということが、一目瞭然になってしまいます。
もっと怖いのは、たとえば、何十年も前の、過去の名講義と比べられることです。私たちにとって受難の時代です(苦笑)。教える側は大変ですが、講義を受ける側には選択肢が広がりますし、先生が切磋琢磨して、より良い授業をするようになっていくので、良いことですね。
こういった発想ができる時代になっているわけですから、これから10年で、大学のあり方は変わっていくのではないかと私は思っています。
(構成:泉美木蘭)
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