崎陽軒にそっくり「関西シウマイ弁当」の正体 史上初「東西駅弁メーカー」によるコラボ商品

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「集会やイベントなどで人が集まってこそ弊社の商売が成り立つのですが、コロナで大きな打撃を受けて、売り上げは7割減となりました。衛生的な問題もあって工場の操業を止めるわけにもいかず、進むしかありませんでした」と、まねき食品の代表取締役社長、竹田典高さんは当時を振り返る。

崎陽軒の「シウマイ弁当」860円(写真:崎陽軒)

駅弁や仕出しは、旅行や観光、行楽など、いわば非日常を彩るものである。コロナ禍で生まれたステイホームという新たなライフスタイルの中に商機を見出すしかない。そこで、駅弁のデリバリーを開始した。駅弁3個、2000円以上の購入で配達するというものだったが、売り上げは今ひとつ伸びなかった。できたての味をそのまま届けるUBER EATSや出前館などに対抗できなかったのだ。

しかし、現場の士気が下がることはなかった。それを体現したのが、2020年4月、まねき食品本社前の駐車場にオープンした「まねきのえきそばドライブスルー店」だ。ここでは、毎朝10時から昼14時までえきそばのほか、カレーや丼もの、人気の駅弁を用意している。イートインスペースも設けられているので、買ったその場で食べることもできる。

まねき食品本社前で営業中の「まねきのえきそばドライブスルー店」(筆者撮影)

ドライブスルー店の周辺には飲食店が少なく、近くで働く人々に重宝され、週末にはわざわざ遠方から足を運ぶ客も多かった。また、5月5日のこどもの日に中学生以下の児童を対象にえきそばやたこ焼きを無料で振る舞うイベントを開催したところ、店の前には長蛇の列ができた。当初は5月末までの期間限定で営業する予定だったが、好評を博したため現在も営業している。

冷凍商品「あったかおうち駅弁」の完成

「流れてくるニュースのほぼすべてがコロナでしたし、何よりも目の前にお客さんがいないわけですから、現場で働く営業も企画も製造も皆、それぞれの立場で何かしなければという危機感を抱いていたと思います」(竹田さん)

幸いなことに時間だけはたっぷりあったため、新商品の企画やレシピが沢山集まった。それらを基に駅弁の冷凍商品の開発を進めた。コロナ禍で旅行に出かけられなくなっても、自宅に居ながら駅弁が食べられることで旅行気分を味わってもらおうと考えたのだ。

次ページまったく違う製法の「駅弁」と「冷凍食品」
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