崎陽軒にそっくり「関西シウマイ弁当」の正体 史上初「東西駅弁メーカー」によるコラボ商品

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「関西では、少しやわらかめのご飯が好まれますが、関東は逆。ややかために炊いたほうが好まれるので、お米のかたさには最後の最後まで苦労しました。容器に使用している経木がご飯から出てくる水分を吸収して、お米のひと粒ひと粒から味をしっかり感じられる状態にすることが課題でした」(竹田さん)

崎陽軒は高温の蒸気でご飯を炊き上げる独自の「蒸気炊飯方式」を採用し、もっちりとした食感とお米そのものの旨味を最大限に引き出している。それを再現すべく、姫路の自社工場で試行錯誤を重ねた。納得のいくご飯が炊けると、それを持って新幹線に乗り、横浜にある崎陽軒の本社を訪ねた。そこで野並社長や役員に試食をしてもらうのだが、なかなかOKが出なかった。

「7、8回は行きましたね。うまくいかないもどかしさや悔しさよりも、訪れるたびに新たな発見や気づきがあったので、崎陽軒様には本当に感謝しています。試作を重ねる中で水分量を極限まで減らして炊くことで食感と旨味を最大限に引き出すことができました。OKが出たときはうれしかったですよ」(竹田さん)

コロナ禍で立ち上げた新規事業で売り上げは1.2倍に

崎陽軒にコラボのオファーを出してから1年と8カ月が経った昨年11月、姫路駅の新幹線改札手前にある中央売店にて1日100個限定で販売したところ、わずか30分で完売となった。現在は生産数を150〜200個に増やし、駅構外の「えきそばピオレ姫路おみやげ館店」やまねき食品本社前のドライブスルー店でも販売しているが、売り切れ必至の状況は変わっていない。

姫路駅の新幹線口手前にある「マネキダイニング」と中央売店(筆者撮影)

姫路は関東からの出張族が多く、行きの新幹線で「シウマイ弁当」を、帰りの新幹線で「関西シウマイ弁当」を食べ比べする人も多いという。また、姫路に転勤で来られた方からも「まさか姫路でシウマイ弁当が食べられるとは思わなかった!」と喜ばれている。

コロナ禍でも果敢に攻める姿勢が功を奏し、まねき食品の直近の月次売り上げはコロナ前の1.2倍まで伸びたという。

「嘆いたり、愚痴ったり、何かのせいにしても仕方がないですからね。前を向いて走り続けていたら、その姿を見ている人が必ずいます」と、竹田さん。その言葉に100年以上にわたって姫路の地で商いを続けてきた老舗の底力が伝わってきた。願わくば、姫路や横浜へ気軽に出かけることができる日常を一日も早く取り戻したい。

永谷 正樹 フードライター、フォトグラファー

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ながや まさき / Masaki Nagaya

名古屋を拠点に活動するフードライター兼フォトグラファー。

地元目線による名古屋の食文化を全国発信することをライフワークとして、グルメ情報誌や月刊誌、週刊誌などに記事と写真を提供。

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