悩めるアラサーが「世界中で激増」する明快な理由 QLC研究の第一人者が語る人生100年時代の困難

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

18~20歳頃よりも、20代中盤で海を渡り異国に行く人が多い……非常に示唆に富んだ話だ。

一方、人生100年時代を迎えつつあることも、QLCに大きな影響を及ぼしている。

「ライフスパンが長くなっている観点は非常に重要です。20世紀初頭は先進国でも平均寿命は50歳くらいで、今の状況から考えると半分ほどしかありませんでした。イギリスでは現在65歳で多くの人が退職しますが、この年齢は1950年代の平均寿命に相当します。今は、65歳になっても、まだ人生の3分の1が残っている。新しい考え方で残りの人生を見つめ直す必要があり、まだまだ多くの人たちが模索している状況です」

長寿化によって人生設計が難しくなっているのは若者に限らず、中高年もまた然り、ということらしい。

若者も中高年も人生設計に悩んでいる

ところで中高年と言えば、日本のメディアではQLCよりも「中年の危機」(ミッドライフクライシス)の問題が取り扱われることが多い印象だが、QLCとどう違うのだろうか?

「ミッドライフクライシスは、子育ても仕事もある程度やり遂げた年代の人たちが、まだしばらく先とはいえ、人生の終わりを意識し始める段階で直面する危機になります。

QLCが結婚・出産・仕事など、覚悟を持って人生にコミットすることに対してチャレンジを感じるのに対し、ミッドライフクライシスはより内面的な問題と指摘する研究者もいます」

若者も中年層も人生100年時代を見据えて、モデルケースのない中で人生設計をしなければならないのが現状というわけだが、本連載では引き続き、若者たちのQLCにおける悪戦苦闘ぶりを紹介していきたい。(通訳:弟子丸敬子)

(※編集補:厳密には、ロビンソン氏は自身の論文では「4フェーズ」と記載しており、英「ガーディアン紙」のインタビューでもそのように答えている。なぜ5段階という解釈が日本で広まったのか……は筆者にも正直わからないところだが、ロビンソン氏の言うフェーズ4は日本におけるフェーズ4と5をひとつにまとめて表現したような感じである。ゆえに、どちらの場合でも、解釈に相違が生まれるほどの違いはないこともあわせて補足しておく)

本連載では、お話を聞かせていただける「クォーター・ライフ・クライシス」(QLC)を経験した方を募集しています。アラサーの筆者・編集者がインタビューさせていただきます。ご応募はこちらのフォームからお願いします。
伊藤 綾 フリーライター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

いとう・りょう / RYO ITO

1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュースなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催 @tsuitachiii

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事