「休日仕事してますアピール」が心を貧しくする訳 経済学者も陥った「幸福感蝕むワーキズム」の罠

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「休日も仕事をしている」という多忙は、有能だからではなく……(写真:EKAKI/PIXTA)
ハーバード・ビジネススクールのアシスタントプロフェッサーにして、心理学者のアシュリー・ウィランズが書いた『TIME SMART(タイム・スマート)』。効率性一辺倒ではない、異色の時間術の本だ。「お金より時間が大事」「生産性向上はタイム・リッチ(時間的に裕福な状態)から」「まず、健康で幸福な生活を送る、その後、生産性・創造性が上がる」と説く。
慶應義塾大学経済学部教授で、コンサルティング企業Economics Design Inc. の共同創業者の坂井豊貴氏は過去最高レベルで忙しい中で本書『TIME SMART』に出会い、朝日新聞書評委員の「今年の3点(2021年)」に選んだ。選出した理由とは何だったのだろうか。

私が多忙なのは有能だからではなく無能だから

ごくたまに人生を変える本に出会います。頻度としては5年に1度くらい。

『タイム・スマート』はそのような1冊でした。この本は私たちには「働くことと金を稼ぐことへの文化的執着」があるが、その執着は必ずしも人間を幸せにしていないと指摘します。

『TIME SMART(タイム・スマート)』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

私は大学で働きながら、共同創業した会社の仕事と、文筆やメディア出演の個人業をしています。自分の意識としては3つの職をかけもちしています。好きでやっているのですが、よく働きます。よく働く人は、そのことを誇りがちで、私も例外ではありません。

もともと私はビジネス書やライフハックが好きです。長年、真剣に時間の効率化を図ってきました。例えば仕事での移動はタクシーが主で、コロナ禍で外出の機会が減った昨年も300回以上乗っています。時間が節約できるし、次の仕事の脳内シミュレーションがしやすいからです。

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