みんなの党が「スピード解党」に至った舞台裏 所属議員を待ち受けるのは艱難辛苦

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三谷事務所で通された部屋のテーブルの上には、ペットボトル入りのお茶といくつかの紙コップが散らばっていた。彼ら地方議員はここで待機していたことがよくわかる。この場でマイクを向けられた9名の地方議員は、ひとりずつその思いを吐きだした。

「今まで地方議員の声を聞くと言っていたが、まったく何も知らされていない。千葉には水野賢一幹事長がいるが、連絡してもなしのつぶて。解党という一大事に1本の電話すらなかった」(前出の石崎市議)。「我々に全く相談はなかった。全てネットニュースで知った。メディアを通じてしか知らされないのは裏切られたのと同じだ」(関谷二葉豊島区議)。

その途中、解党が決定したとの一報が入った。時計を見ると午後3時58分で、両院議員総会が開会されてから30分もたっていない。まさにスピード解党だった。

政党交付金の余剰分は国庫に返還へ

「今回の解党で、路頭に迷う地方議員も多いのではないか」――そう話すのは、かつてみんなの党に所属していた国会議員だ。

「来年4月に統一地方選を戦わなければならないというのに、看板とする政党がいきなりなくなった」

ただし「みんなの党」の看板があったとしても、選挙で有利になるわけではない。16日に行われた松戸市議選では、みんなの党は4名の公認候補を擁立したが、当選したのはわずか1名だった。

「敗因のひとつが渡辺氏だ。応援に入りながら演説で浅尾批判を絶叫していた。あれでは票は入らない」――松戸市の関係者はこう述べたが、他にも渡辺氏に対する苦情の声は、浅尾氏の事務所にも次々と届いていたという。そうした声が浅尾氏ら執行部に解党を決意させたともいえるだろう。

昨年夏の「江田憲司幹事長降ろし」から始まったみんなの党騒動は、解党という結末で幕を下ろした。このドラマからは、2009年に結党した当時の「新しい政治をつくろう」という勢いや政策論を巡る高度な筋書きはまったく感じられない。あるのは「ナンバー2を追い出したオーナーが新たなナンバー2に追い落とされてしまった」という、因果応報の平板なドラマ。あっという間に風化していく運命かもしれない。

11月21日追記:初出時に、「党本部から地方議員候補者に100万~200万円の交付があった」との記述がありましたが、削除して訂正します。(編集部)

 

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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