第3回(「ゾンビゲームなのに「感動で震える」超傑作の魅力」)では多くの人が傑作と認める『The Last of Us』を取り上げましたが、その続編となる『The Last of Us 2』はかなり評価が割れています。
もちろん、『The Last of Us 2』はすごく立派な作品です。前作と同じく「ノーティードッグ」が開発しただけあって一級品のゲームですし、アメリカの権威あるアワード「The Game Awards 2020」でもGame of the Yearに輝きました。評論家からの評価も上々です。
しかし、ユーザーからは必ずしも高く評価されているわけではありません。なかには本作を嫌い、制作スタッフや出演者に対し嫌がらせや殺害予告を行う人まで出てしまいました。なぜそんなことになってしまったのでしょうか。それは、本作がプレーヤーの感情を恐ろしくかき乱すものだったから。出来も良いだけに、心がかき乱されすぎた人も出てきたのです。
ゆえに『The Last of Us 2』は賛否両論などと言われることもあるのですが、私としては「傑作を越えた怪作」だと考えています。あまりにも優れたゲームが新たな表現への挑戦をして、簡単には理解されない作品になったといえるかもしれません。
発売前に公開されていたあらすじとかなり印象が違う
本作の主人公は、前作で「ジョエル」に守られていた少女「エリー」。血を血で洗うような旅から5年経ち、ふたりは落ち着いた生活を過ごせるようになりました。
しかし、その平穏な日々は唐突に終わります。集落のなかは安全だとしても、その外には危険な感染者たちが多数おり、暴力をもって糧を得ようとする人間たちもいるのですから。ある事件が起こり、エリーは復讐のために旅立とうとするのです。
……と、ここまでが発売前に公開されていたあらすじです。これ自体はなんら問題ないのですが、実際にゲームを遊んでみるとかなり違った印象を抱く内容になっていました。というのも、もう1人の主人公といえる「アビー」の存在が伏せられていたからです。
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