人間模様を描きすぎ「怪作になったゲーム」の正体 遊んだ人は阿鼻叫喚、感情がひどくかき乱される

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前回紹介した『The Last of Us』の続編『The Last of Us 2』の魅力について解説します。画像はPlayStation公式サイトより)
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「テレビゲーム」は子どもがやるものと思われがちですが、書籍や映画ともまた違う独自のシリアスな、あるいはユニークな作品が多数あります。その魅力は奥深く、大人の趣味として楽しめるほどに成熟しているといっても過言ではありません。
そこでこの連載では、ゲームの評論やコラムを10年以上書き続けているゲームライター、いわばゲームで遊ぶプロである渡邉卓也氏が、ゲーマーからは人気でも一般的にはあまり知られていないであろう著名な作品や傑作を紹介します。
第4回は、もはや傑作を越えて怪作になってしまったといえる『The Last of Us 2』を取り上げます。
著者フォローをすると、連載の新しい記事(月2回配信予定)が公開されたときにお知らせメールが届きます。

第3回(「ゾンビゲームなのに「感動で震える」超傑作の魅力」)では多くの人が傑作と認める『The Last of Us』を取り上げましたが、その続編となる『The Last of Us 2』はかなり評価が割れています。

もちろん、『The Last of Us 2』はすごく立派な作品です。前作と同じく「ノーティードッグ」が開発しただけあって一級品のゲームですし、アメリカの権威あるアワード「The Game Awards 2020」でもGame of the Yearに輝きました。評論家からの評価も上々です。

しかし、ユーザーからは必ずしも高く評価されているわけではありません。なかには本作を嫌い、制作スタッフや出演者に対し嫌がらせや殺害予告を行う人まで出てしまいました。なぜそんなことになってしまったのでしょうか。それは、本作がプレーヤーの感情を恐ろしくかき乱すものだったから。出来も良いだけに、心がかき乱されすぎた人も出てきたのです。

ゆえに『The Last of Us 2』は賛否両論などと言われることもあるのですが、私としては「傑作を越えた怪作」だと考えています。あまりにも優れたゲームが新たな表現への挑戦をして、簡単には理解されない作品になったといえるかもしれません。

発売前に公開されていたあらすじとかなり印象が違う

本作の主人公は、前作で「ジョエル」に守られていた少女「エリー」。血を血で洗うような旅から5年経ち、ふたりは落ち着いた生活を過ごせるようになりました。

しかし、その平穏な日々は唐突に終わります。集落のなかは安全だとしても、その外には危険な感染者たちが多数おり、暴力をもって糧を得ようとする人間たちもいるのですから。ある事件が起こり、エリーは復讐のために旅立とうとするのです。

……と、ここまでが発売前に公開されていたあらすじです。これ自体はなんら問題ないのですが、実際にゲームを遊んでみるとかなり違った印象を抱く内容になっていました。というのも、もう1人の主人公といえる「アビー」の存在が伏せられていたからです。

主人公のエリー。前作から5年経過し、大人に近づいています(画像はPlayStation公式サイトより)
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