日本人の生活も圧迫するウクライナ侵攻の別側面 調達難の値上げとともに第3次石油危機の可能性も

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3月14日夜の東京都内。レギュラーガソリンの店頭価格は170円/Lに迫っていた(東洋経済オンライン編集部撮影)

値上げラッシュが起きています。名古屋では庶民のソウルフード「スガキヤ」のラーメンが330円から360円に上がり、大阪ではたこ焼きなどの粉物(こなもの)が値上げ。全国的にすでにパスタや食用油などのスーパーでの価格も上昇していて、家計に影響を及ぼしています。

ガソリン価格は1リットル当たり170円を超えたところで値上げが止まってくれたのですが、実はこれは政府が補助金を積み増していることで上がっていないだけで、実際は石油元売り会社の仕入れ価格は上昇しています。

1カ月前まで、値上げラッシュはアフターコロナに向けての過渡的な現象だと思われていました。コロナからの回復期を考えると、経済は需要が先に増えるものです。アメリカでもマスク規制が撤廃されてみんなが「そろそろ外に出ても大丈夫だ」と考えて外出をはじめ、いろいろと買い物をします。ところが商品を生産する企業も同じタイミングで活動を再開するので商品はしばらくの間は欠品する。だから価格が上がります。

小麦、大豆、とうもろこしといった食糧は、コロナ禍の需要減に応じて生産調整をしていたので、この先1年ぐらいはモノ不足になる。だから国際価格が上昇する。コロナからの経済回復の過程での値上げラッシュは仕方ないことだと考えられていました。

ウクライナ侵攻で風向きは悪いほうに

そこにロシアのウクライナ侵攻に伴う経済的なショックが起き、風向きが悪いほうに変わります。

ロシアへの経済制裁でロシアではルーブルが暴落し、今年のロシア経済は2桁インフレが起き、マイナス2桁の経済成長に陥ると観測されています。いちばんの被害を受けるのはロシア国民ですし、そのロシア経済は世界で見れば1.7%の規模でしかないのでわたしたちに対する影響は軽微だという考えが経済制裁の前提でした。しかし問題は細部にあるものです。

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