この状態でもすでに日本はスタグフレーションの入り口に立っているわけですが、なぜそれが狂乱物価につながっていないかというと、小売店が「値上げをすると売り上げが減る」と信じているからです。
メーカーはどこも「もう値上げをしないと無理だ」と思っているのですが、なかなか価格転嫁ができない。日本では生産者物価指数ばかり上昇して消費者物価がまだそれほどは上がっていないのです。
アメリカの金利引き上げがきっかけになるかも
この先の状況をさらに悪化させるとしたら、大手スーパーやコンビニ、ドラッグストアが一斉に考えを変えてしまうような出来事が起きることです。ひとつの可能性としてはアメリカの金利引き上げがその引き金となるかもしれません。
経済学的には今のような状況下では「金融引き締めを行うと逆効果だ」と言われています。にもかかわらずアメリカの連邦準備銀行がウクライナショック以前に決めた方針だから変えるつもりはないということで金利の引き上げを行ったとしたら、アメリカ経済が急に冷え込むことになります。そこが第3次石油ショックの引き金になりえます。
「第3次石油ショックで世界的にひどいことが起きている」
「だったら日本も値上げするしかないな」
「赤信号、みんなで渡れば怖くない」
と小売店が考えを改めたら、消費者物価は一気に変わります。
わたしたちはすでにコロナ禍で、マスクの価格が10倍に高騰したり、トイレットペーパーがスーパーの店頭から消えたりといったことを経験しています。石油ショックが起きると、これらの現象が食料品や日用品など幅広い品目に広がる可能性がある。しかもガソリン価格や電気料金が高騰して家計を圧迫する結果、少しでも節約しようと消費が停滞し日本経済もロシア同様の大幅なマイナス成長に陥るかもしれません。
これから注目すべき点はウクライナ情勢がどれだけ長期化するかにつきると思われますが、ウクライナ危機の長期化は私たち日本人の生活に直結する危機になるということは忘れないほうがいいと思います。
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