「奨学金400万円」大したことないと言う男性の真意 特別な才能がなくても貧困家庭から脱出できる

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自分を大きくしてくれた大学に感謝

大学4年間を通じ、奨学金を合計で400万円借りた森本さん。

そんな彼が、新卒で入社したのは大手新聞社だった。しかし、ハードワークで心身ともに疲弊。数年経ったのち、教育関係の仕事に就くことを決めた。背景にあったのは、自分の世界を広げてくれた、大学という場所への感謝だ。

「私の中で『大学でいろんなことを教えてもらった』という思いが強かったんですよね。高校までの勉強は所詮、受験勉強ですが、大学にはいろんな学生や先生がいて、いろんな価値観に触れて、視野や世界を広げることができる。テレビや新聞などのマスメディアから得られる情報よりも、大学で学ぶ情報というのは多様なんですよ。

もちろん、中にはつまらないと思う講義もあったし、話の面白くない先生もいましたけど、そのつまらない講義ですら、専門分野として成り立っている。世界にはいろんな人がいるということを身を持って学べたんです」

学業、バイト、サークル活動、恋愛、趣味など、さまざまなことに打ち込んだ大学生活を送ったことで、自分の世界は広がり、人間的に大きくなった……。森本さんは、そんなふうに考えているようだ。

また、今の仕事に就いた背景には、「人の役に立ちたい」という気持ちも背景にあったという。

「新卒で入社した会社で今でも働き続けていれば、もっと年収は良かったでしょう。大学時代の友人には高収入な人もいて、中には何千万円と稼いでいる人もいます。

だけど、私自身は貧しい家庭出身というのもあって、お金儲けというよりも『社会のために働きたい』という気持ちが強いんですよね。年収を追い求めるのではなく、庶民のために働きたいという思いから、今の仕事に転職した気持ちもあります」

奨学金のおかげで大学に進学できた、森本さんならではの選択といえるだろう。

そんな彼は現在、2人の子宝にも恵まれ、都内にマイホームを購入している。肝心の奨学金も毎月2万円の返済を長年続けてきたことで完済間近。夫婦共働きということもあり、無理なく着実に返してきたようだ。

「奨学金を返済している人の中には、マスコミやIT企業に就職してめちゃくちゃ稼いで、『数年で、一括で返済した』という人もいるでしょう。だけど、私の場合は地に足のついた生活をしながら、20年近くかけて返済してきました。

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