「日経平均2万円割れの懸念」が無謀ではない理由 株価下落の理由は「ウクライナ」だけではない

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さらに大きな問題は、これまで世界中の中央銀行が、歴史的にはありえない大規模な金融緩和を行ってきたことであり、それに世界が慣れてしまっているということだ。だから、金融引き締めに慣れていた1980年とは異なる。

スタグフレーション、ロシアによるウクライナ侵攻は株式市場に大きなダメージを与えるが、それに加え、何よりも金融引き締めショックが異常な金融緩和による壮大なバブル崩壊に与える影響は、金融緩和が史上最大なのだから、崩壊も史上最大級の可能性がある。

そして、この金融引き締めとインフレの長期継続による株価暴落リスクを、市場は忘れている。忘れたふりをしているうちに、本当に忘れてしまっている。

3月のFOMCが0.25%の利上げになっても結局は暴落へ

まず、3月16日のFOMC(連邦公開市場委員会)の声明文公表で、利上げがウクライナ前の懸念どおり、0.5%の利上げになれば、株価は利上げショックで大暴落となるだろう。

一方、利上げ幅が0.25%にとどまれば、やはり利上げペースは弱まったと願望が実現した(ようにみえる)ことに安堵し、株価は大幅上昇するだろう。しかしそれは、その先の利上げによる暴落を準備する上昇にすぎない。ロシアが侵攻を止めたのちに、利上げペースが加速し、そこで暴落することになるだろう。

そして、ロシアが侵攻を止めても、ロシアが行き詰まって、停戦が実現したとしても、すぐに制裁を解くわけにはいかず、プーチン大統領が消えるまでは続けることになる。実際にはプーチンは簡単には消えないから、制裁は市場の願望からかけ離れて長期化するだろう。

したがって、その先の株価反発の材料もないという事実に、最後は、投資家たちも屈服せざるをえず、株価は低迷を続けることになるだろう。この流れの中で、日経平均は2万円を割ることがあってもまったく不思議ではないのである。

(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)

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