「日経平均2万円割れの懸念」が無謀ではない理由 株価下落の理由は「ウクライナ」だけではない

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ウクライナ侵攻は金融引き締めが遠のき、株式市場にプラスという解釈は自分勝手なだけではなく、根本的に間違っていることが問題だ。これが、株式市場が反発した第3の理由だが、投資家の致命的な「構造的誤ちパターン」でもある。

つまり、願望を強引に市場に押し付け続けたあまり、それが願望だか事実だか、自分たちでもわからなくなってしまったのだ。確信犯的に相場に願望を吹聴して、素人にそれが事実と信じ込ませていたのが、最後にはその確信犯的なウソに自分たちがだまされるようになってしまったのだ。

ウクライナ危機があっても、中央銀行は金融引き締めを止めない。それどころか、利上げは加速する。なぜなら、誰でもわかるように、というか現実に起きているように、インフレが加速しているからだ。

オイルショック時よりもインフレは複雑で手ごわい

原油、天然ガスだけでなく、ありとあらゆる資源は高騰し、世界的な物流チェーンが止まるから、ロシア資源とは直接は無関係でも、すべての原材料の入手コストが上がる。物流効率も悪くなるからコストも上がる。

インフレは、資源価格の高騰分は当然反映されて加速するだけでなく、資源と無関係に、すべてのコストが上昇し、コストプッシュインフレは加速するのだ。買いだめも企業ベースでも消費者ベースでも起きるだろう。オイルショックの再来だ。

これは素人の目には明らかである。しかし、それでも専門家たちは抵抗を続ける。「スタグフレーションは起きない」「オイルショックのときは違う」などと言い張る。

その最後の根拠は「あのときはもともと不況で、失業率も高かった。今回は景気がよく、失業率も歴史的最低水準だ。だから、まったく違う。不況にならないから、スタグフレーションにはならない」と素人たちを説得しようとする。

ありえない。不況の深刻さはもちろん、オイルショック時よりは軽いだろう。しかし、根本はインフレーションである。もともと好景気、コロナで人材不足、賃金上昇が加速しているところに、インフレ要因がさらに重なったのだから、オイルショック時よりもインフレはより複雑で手ごわいということだ。

だから、利上げをしてもインフレは収まらない。そして、利上げをすれば景気は悪化する。だから、不況の程度はオイルショック時よりも軽いが、より手ごわい複雑なインフレである、種類の異なるスタグフレーションが起きるだけだ。

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