燃えるゴミは3カ月に1度しか出さない人の「末路」 ゴミを減らしたら増えていく「意外なもの」

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ちなみにこの「干す」「漬ける」は冷蔵庫と違ってほぼ「永久保存」が可能なので、私は冷蔵庫&ラップと縁を切ってから食材を無駄に腐らせることが一切なくなった。ってことは冷蔵庫&ラップこそが食品ロスの大元ってこと……? いやほんと、世の中どうもこんがらがってますな。

そんなこんなで私は消耗品、すなわち「使い捨て」の品を使い続ける人生の永遠のサイクルから一人抜け出して、涼しい顔をして生きている。無駄なお金を使い続けることもなく、無駄なものを家の中に溜め込むこともなく、しかも生活の質は上がっている。何度でも繰り返すがいいことしかない。それもこれも、エコを人生の目標としたおかげである。

で、このような生活になると何が起きるのかというと、ゴミの量が圧倒的に減るのだ。消耗品を買わない、すなわち「使い捨てない」生活なのだから当然と言えば当然だが、燃えるゴミは3カ月に一度出せば十分というわが現実を目の前にすると、さすがに我ながら驚いてしまう。

だって「普通の暮らし」をしていた頃は、週に2回のゴミ出しに必死だったんですよ。不規則な仕事をしていたので、帰宅が明け方とかになるとゴミ出しの時間に起きるのが大変で、うっかり寝過ごそうものならゴミ箱がパンパンに溢れて収拾がつかなくなると恐れていた。

ゴミを買うために働いていた?

ありゃ一体何だったのだろう。どうしてあんなにエンドレスにゴミを出し続けていたのだろう。つまりは私はゴミを買って生きていた……のか? そのために、つまりはゴミを買うために必死こいて働いていたんだろうか?

そうだったのかもしれない。

先日、芸能活動のかたわらゴミ清掃員として都内を回る、お笑いコンビ「マシンガンズ」の滝沢秀一さんにお会いする機会があった。滝沢さんも私と同様に「ゴミを減らすこと」に取り組んでいて、その話題で一気に意気投合したんだが、印象深かったのは、滝沢さんがゴミの削減に取り組み始めたきっかけが「お金持ちになりたかったから」という一言である。

というのも、ゴミ収集をしていて否応なく気付いたのが、お金持ちが暮らす地域のゴミが圧倒的に少ないのに比べて、普通の地域で出るゴミの呆れるほど多いことだったからだ。ろくに着ていない袋いっぱいの服、手つかずのコメ袋やピザ、何に使ったか不明だが大量のプラスチックの収納箱――。

収集に追われながら、これって……みんなゴミを買ってるんじゃないのか? と、自分の生活を振り返ったという。

本当に必要なもの、本当に欲しいものだけを買って長く使うのがお金持ち。ならば自分もそうすれば、つまりはゴミを減らせばお金持ちになれるのでは……?

私、思わずウンウンと大きくうなずいてしまいました。

少なくとも私の場合は、ゴミを出さない、すなわち無駄なものを究極まで買わない生活を目指した結果、確実に「お金の心配」がシュルシュルと減っていったのである。エンドエスにゴミを買い続けるような暮らしをやめれば、自分が豊かに生きていくために必要なモノなどほんのちょっとであると気づく。

そうなれば収入は増えずとも、いやかなり減ったところで、それ以上に使うお金が減ってしまう。お金持ちとはおそらく、お金をたくさん持っている人のことではない。「お金が余っている人」をお金持ちというのだ。

そう確かに、ゴミを減らせば誰でもお金持ちになれるのかもしれません。

稲垣 えみ子 フリーランサー

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いながき えみこ / Emiko Inagaki

1965年生まれ。一橋大を卒業後、朝日新聞社に入社し、大阪社会部、週刊朝日編集部などを経て論説委員、編集委員をつとめる。東日本大震災を機に始めた超節電生活などを綴ったアフロヘアーの写真入りコラムが注目を集め、「報道ステーション」「情熱大陸」などのテレビ番組に出演するが、2016年に50歳で退社。以後は築50年のワンルームマンションで、夫なし・冷蔵庫なし・定職なしの「楽しく閉じていく人生」を追求中。著書に『魂の退社』『人生はどこでもドア』(以上、東洋経済新報社)「もうレシピ本はいらない」(マガジンハウス)など。

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