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ミドルシニアの「セカンドライフ問題」どう解く? 個人の自助努力では難しい現実を誰が変えるか

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  • 梅本 龍夫 立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科客員教授
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ただし、たとえば就職氷河期世代やLGBTQのことを、「かわいそうな人たちだからなんとかしよう」と包摂するのではなく、「彼らがいるから私たちも変わる」という、お互いに平等な立場でインクルージョンが生じて、マスター・ナラティブが拡大するのが理想的です。

静岡市の例は、そうした「社会的な関係性の編みなおし」が今後日本の各地で進むさきがけの事例になりうると実感しています。

『ライフ・シフト2』は神話の構造と似ている

『ライフ・シフト2』を読んだ時、ジョーゼフ・キャンベルが指摘する神話の構造に似ているな、と感じました。

今回グラットン先生は、「物語」(自分のストーリーを紡ぐ)ことで、「探索」(学習と移行に取り組む)ことが可能となり、それが「関係」(深い結びつきをつくり出す)ことにつながる、と提言しています。

これはキャンベルの神話論でいう「出立」(新しい冒険の旅が始まる)、「イニシエーション」(旅先で試練に遭遇し宝物を獲得する)、「帰還」(宝物を共同体に持ち帰る)と重ねてみると、より味わい深く感じられてきます。

「物語」という一見フワッとした概念から話を始めることで、ロジカルな、あるいはエビデンスを用いた議論から分離され、私たちは新しい可能性に開かれ、新しい冒険の旅が始められます。

私の人生の「物語」とは何なのを自覚すると、新しい主体的な「探索」が進み、何かしら宝物の原石のようなものを発見する。そしてそれを持ち帰り、磨き込んでいった結果、新しい「関係」がもたらされる。この一連の流れは、世界中の神話や通過儀礼に特徴的なものです。

キャンベルの『千の顔を持つ英雄』という本は、映画の『スター・ウォーズ』のストーリーにも大きな影響を与えたということで有名です。困難な状況の中から、英雄が1人旅立ち、新しい世界でもがき、戦って、その成果を共同体に持ち帰る。英雄物語の基本的なストラクチャーともされるものです。

『ライフ・シフト2』の2人の著者がどこまでそれを意識していたのか、定かではありませんが、社会的開拓者として、あるいはそのフォロワーとして生きるということは、こうしたジャーニーを経るということなのかもしれません。

人生のジャーニーの構造について、そうした知識を持つことは、ライフ・シフトの旅路をより容易なものにし、ソーシャル・シフトの助けになるのではないかと思っています。

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