ミドルシニアの「セカンドライフ問題」どう解く? 個人の自助努力では難しい現実を誰が変えるか
2016年に刊行された『ライフ・シフト』のメッセージは、個人として生き方を変えていこう、ということだったと思います。しかし、個人の自助努力だけでは難しい。そこで、個人の人生戦略の具体策を描きつつ、政府や企業、あるいは教育機関がサポートする必要があると述べたのが『ライフ・シフト2』ではないかと思うのです。
私が『ライフ・シフト3』が必要だと思う理由
私はさらに、そこから社会がどう変化していくのか、どう変化していくべきかを描いた『ライフ・シフト3』、あるいは『ワーク・シフト』からの流れで言えば、「ワーク・シフト」「ライフ・シフト」に続く「ソーシャル・シフト」というテーマに踏み込むことが必要だと感じています。
人は1人では生きられませんから、個人のライフ・ストーリーが変わっていく時には 、周囲の人や環境との関係性が変わっていきます。
家族や職場などの小さな単位から社会に至るまで、その関係性には強固なストーリーが存在しています。
ライフストーリー研究や制度論の文脈ではモデル・ストーリーとかマスター・ナラティブと言われますが、例えば家族として、職場の一員として、あるいは社会の一員として、あなたはこうあるべきだという、社会的なストーリーです。
個人のライフ・ストーリーが変わっていくには、それらのストーリーも変わっていかなくてはいけない。モデル・ストーリーが変わらないのに、個人のストーリーだけが変わることは困難です。
それが、多くの人にとって、ワーク・シフトやライフ・シフトを難しくしている理由だと思います。そこで、ソーシャル・シフトのような新しい動きが必要な段階に来ているのだと感じているのです。
従来の3ステージの人生というのは画一的でしたが、マルチ・ステージの人生を各個人が歩むようになると、多様化が進むでしょう。モデル・ストーリーも、多様化の方向に進み、それと個人のライフ・シフトが重なりあっていくと思います。
ライフ・シフトというのはいい言葉ですよね。ライフ(人生)って、もちろん自分ごとでもあるし、かといって、自分だけのものでもない。関係の中にある。
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