ミドルシニアの「セカンドライフ問題」どう解く? 個人の自助努力では難しい現実を誰が変えるか

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ライフ・シフトは、私たちにそういう気づきを与えてくれるものだったと思います。当人も周囲も問題を言語化できない状況では、変化は起こりえませんから。

ソーシャル・シフトに向けての行政の変化

例えばLGBTQなどの性的少数者に関して、レインボーという言葉が象徴になって、みんながそういう格好して歩いたり、アピールすることで、変化が目に見えるものになって促進されるという面がありますよね。

ライフ・シフトという言葉も、従来の人生とは異なる人生を歩もう、変わっていこうという流れに対して、すごいパワーをくれました。

対話を通じて問題が言語化されることで、それが社会の変容、すなわち『ライフ・シフト3』に向かっていくといいと思います。

私が関与しているNPOでは、静岡市と一緒になって、就職氷河期に就職できずに不安定な雇用で働いている方の再チャレンジ支援を始めています。言わば、高校や大学を卒業した時に非正規雇用の道に入ってしまい、抜け出せなくなった人たちです。

彼らは、従来のマスター・ナラティブの中では取り残されて、その問題を社会が看過してきました。静岡市の田辺信宏市長は「まちづくりはひとづくり」というお考えの方で、私たちが提案した「人生は何度でもデザインしなおせる!」という考え方に共感いただき、市長直轄のライフデザイン・プロジェクトを推進できるようになりました。

これは就職氷河期世代の支援にとどまらないもので、静岡市の多様な人々が新しい関係性を編み出していく社会活動になってきています。

また、LGBTQなどの性的少数者も、急速に認知されるようになってきて、渋谷区などでは、同性のカップルにパートナー証明書を発行するようになりました。こうした動きに呼応して、同性カップル向けの保険が登場したりしています。

こうした行政の動きを見ていると、希望も込めて、ソーシャル・シフトに向けて社会は変わってきているし、そうした変化を促進し支援する手段もあるように思います。

次ページ「社会的な関係性の編みなおし」
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