ミドルシニアの「セカンドライフ問題」どう解く? 個人の自助努力では難しい現実を誰が変えるか

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ミドルシニアのセカンドライフとは(写真:8x10/PIXTA)
日本人のライフ・シフトには、個人のライフ・シフトと足並みを揃えたソーシャル・シフトが必要だ――アメリカ留学後、絶対の安定企業とされたNTTを飛び出し、スターバックスコーヒージャパンを立ち上げ、現在は大学でライフストーリー論、サードプレイス論などを教える立教大学の梅本龍夫氏はそう指摘する。ソーシャル・シフトが必要だというその理由を、14万部突破のベストセラー『ライフ・シフト2』を紐解きながら、2回に分けてお届けする。

個人の力だけでライフ・シフトするのは難しい

前作『ライフ・シフト』が発売されて8年、ライフ・シフトは社会現象となり、言葉としても定着しましたよね。

『LIFE SHIFT2(ライフ・シフト2):100年時代の行動戦略』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

一方で、そこで主張されていた、「教育」「仕事」「引退」という伝統的な3ステージの人生という生き方はいまだ日本では根強く残っていて、企業の現場でも対処に困っているという実態があるように思います。

中でも大きな課題のひとつは、ミドルシニアのセカンドライフでしょう。言葉を選ばず言えば、「次のステージへ行ってはいかがでしょうか」という方が企業内に滞留している。

その背景に何があるかと考えると、ワークとライフが分断されていて、ワークの部分だけを個人の力で変えていくことが難しいからではないかと思います。

『ライフ・シフト』で言われるように、「技術革新と長寿化の時代に人生が変わっていきます」となった時に、ワークとライフは二項対立的でなく、ワークはライフに包摂され、ライフという包括的なものの中にワークをどう位置づけるかが大事になるでしょう。

これが、『ワーク・シフト』以来、グラットン先生が伝えたいことではないかと私は考えました。

人生100年時代には、人生を前向きに楽しみ、変身資産を積み上げ、エクスプローラーになったりポートフォリオワーカーとして生きる。そうした生き方のシナリオに、私自身、すごく勇気づけられましたし、実際にそれができる人は、すでにそうしているでしょう。

しかし、個人の力だけで、そうした生き方を実践できる人はどれほどいるでしょうか。

次ページ2016年に刊行された『ライフ・シフト』のメッセージ
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