医師・弁護士の「近未来」はどうなる? 弁護士ドットコム×メドピア 社長対談(第3回)

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弁護士・医師×テクノロジーでどう変わる

元榮:これから、ということでは、弁護士ドットコムは、テック企業としての側面を打ち出していきたいと思っています。「リーガル・テック」というのはわれわれの造語ですが、この言葉を広めていきたい。

これはリーガルとITテクノロジーの掛け算で、世の中を便利にするということです。たとえば契約書のペーパーレス化。これだけデジタル化しているのに、いまだに製本テープで止めて押印、割印を押し、印紙を貼らなければならない。こういったものが企業活動をスムーズではないものにしている。

あとはAI(人工知能)の活用です。カジュアルで典型的な法律相談であれば、人間ではなくAIの「弁護士ドットコム先生」が答えるようにしてもいい。世界的にユニークな企業として、世の中をより便利に変えていきたいと思いますね。

石見:僕らがこれからやりたいことも、「ヘルス」プラス「テクノロジー」の「ヘルステック」というキーワードで表せると思っています。簡単な法律相談ならAIでできるかもしれないように、簡単な病気の診断もAIでできるようになると思うんですよ。

人の体は無数の信号を出しているので、それを分析するだけでも診断できますし、それに加えて、僕らは数万人単位の医師の協力体制もできているので、人間の目も融合した新しいかたちの医療行為を創造できると思う。それに電子カルテがあれば、さらに価値を提供できるでしょう。ここはまだまだ未開で、やれることは無限にある分野です。

――電子カルテの普及には時間がかかった印象があります。お医者さん側も患者さんの側も、紙のカルテに書き込むのはいいけれど、パソコンで管理するのはちょっと非人間的だ、というような心理的な抵抗があったのかもしれません。そういう意識を変えていく必要があるでしょうね。

石見:今、電子カルテはクラウド化が始まっていますよ。今までは「患者のデータは医療施設内に保管すること」という法律上の決まりがあったせいで、パソコンにインストールしなければならなかった。でも3年くらい前から、電子カルテをクラウドで提供してもよくなりました。ですから市場がちょうど開いたところです。

元榮:ちなみに遠隔医療って、どこまで許されているのですか。電話で相談に乗るとか、テレビ電話で診察するとか。

石見:患者が僻地にいる場合などに限って、特例で認められているレベルですね。基本的に対面で診察しないと健康保険が適用されない。

元榮:自由診療だったらありですか?

石見:そうですね。保険の問題だけですね。

元榮:「AskDoctors」という医師に相談できるサイトがありますが、あれは法律上はどうですか? 一般論としての回答じゃないとダメだという話を聞いたことがありますが。

石見:利用規約で、「これは医療行為ではない」と宣言していると思います。あのようなサービスも、これから技術が進めばできることはいっぱいありますよね。患者も具合が悪いのを我慢して病院に行くのは大変だろうし、医師もこのようなサービスが発展してくれれば、無駄な受診が減ると思っているはずです。

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