日本企業にありがちな「3つの過剰」の大きな弊害 部分最適に陥らないための組織づくりとは
では、具体的に見ていきましょう。まず、A社の大論点(「収益を拡大したい」)を分解します。「A社」という大きなくくりでは解像度が低いので、ここでは組織を「事業部門」「本社部門」「間接部門」という3つに分解しました。
仮に、収益拡大のCSFが事業部だとします。事業部の収益を拡大するためには、どんな打ち手が考えられるでしょうか? ここでもさらに、「営業」「マーケティング」「人事施策としてのインセンティブ」「組織」と、解像度を上げて論点を把握できるように因数分解していきます。
たとえば、事業部の中でのCSFが「営業」だとすると、これをさらに「直販」と「代理店」などと分解していくのです。「直販」のほうが売り上げ拡大の余地が大きいなら、定量(データ)と定性(インタビューなど)を活用することで、重要なポイントであるCSFを見極めていけそうです。
こうして要素を分解していった結果、仮に営業チームごとに売り上げの伸び率が大きく異なることに気づいたとします。一番の好業績が営業B部だったとすれば、ほかの部の成績をB部並みに引き上げることで全体の売り上げを拡大させ、収益拡大を実現できることになります。
「持てる大きさの荷物にする」スキルを磨こう
いかがでしょうか。A社の大論点「収益を拡大したい」を、中論点「好業績の営業B部並みにほかの部の業績を高めたい」に分解することができました。
「収益を拡大したい」という論点では、どんなアクションをとればいいかわからなくても、分解していって解像度を上げることで、肌触り感が増し、具体的なアクションまでイメージできるようになったはずです。
この「好業績の営業B部並みにほかの部の業績を高めたい」を言い換えて、「営業1人当たり○○(≒営業B部並み)の営業生産性の実現」が重要業務になるわけです。
この、物事を分解して「持てる大きさの荷物にする」というスキルは、自分自身の仕事だけではなく、同僚や部下に仕事を依頼するときにも役立つ、応用範囲が広いスキルですので、ぜひ使いこなせるようになってください。
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