日本企業にありがちな「3つの過剰」の大きな弊害 部分最適に陥らないための組織づくりとは
どうすれば、この組織の分断、つまり部分最適を超えて、全体最適な活動になるのでしょうか。
まずリーダーが集まって、自ビジネスのビジネスプロセスの中で、最も弱い箇所・組織を特定します。この最も弱い箇所・組織がCSF(Critical Success Factor)になります。そして、皆でこのCSFを強化する方法、どれくらいの水準まで強化しないといけないか、数値を考えます。リーダーが集まっているので、定量データ、定性情報などを集めると、比較的簡単に考えられることが多いです。
その数値目標がKPI(Key Performance Indicator)です。これでやることが明確になりました。
そしてここからがサイロ化を壊す重要ポイントです。このCSFを、KPIまでカイゼンする部署に対して、「ほかの組織が支援する」のです。支援とは、必要あれば人を異動させ協力するのです。本部組織は、その部署に優秀な人材を優先的に調達し、育成するのです。つまり弱い箇所であるCSFを全組織挙げてえこひいきして強化するのです。
そして、これらの支援の甲斐があって、無事にそのKPIが達成できれば、いちばん弱い箇所は十分強くなったので、次に弱い箇所・組織がCSFになるのです。この新しいCSFに対しても、同じく全組織で支援するのです。これを繰り返すうちに、ビジネスは強くなり、組織間の壁は低くなり、サイロ化が解消されます。まさに一挙両得です。
人事戦略も組織づくりに有効
人事施策(目標設定、昇進・昇格・配置、人材育成)にひと工夫するのも全体最適な組織を作る1つの方法です。
組織は、人事施策で動きやすいものです。部分最適な人事施策の一部を全体最適な施策に変更することが有効です。
目標設定に全体最適な目標を加えるのです。たとえば、個人目標が、個人や自分のチームに関係する目標だけであった場合、全社目標や事業部目標といったより広い「全体の目標数字」を個人目標に加えるのです。これだけで、全社目標や事業部門目標を意識するようになります。
特に上位役職者(役員や部長など)に全社目標を持ってもらうのは有効です。よく責任の所在を明確にするために、全社目標を上位役職者に持たさない会社があります。これでは、わざわざ目標設定で部分最適になりなさいと言っているようなもの。最悪の目標設定です。
組織は上から腐ります。上位役職者が部分最適な自部門の目標のみを追いかけていては、配下のメンバーが全体最適になることはありません。
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