日本企業にありがちな「3つの過剰」の大きな弊害 部分最適に陥らないための組織づくりとは

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昇進・昇格・配置換えも全体最適な組織づくりに活用できます。昇進・昇格をする際の配置であえて別部門を担当させるのです。

私がリクルート時代に部長になったときの話です。

同じタイミングで5人が新任部長になったのですが、私以外の4人は新人配属から同じ部門で、課長、部長へと昇進していました。すると、どうしても「その部署にとってメリットがあるかどうか」という部分最適な考え方になっていました。

一方、私は大きな異動を何度も経験した後に部長になったのです。異動先も本社、地方、子会社、複数事業部門など多種多様です。さまざまな部署の経験をしたことで、それぞれの立場で物事を見ることができるようになっていました。つまり全体最適の思考が身についていたのです。

もちろん、特定業務への専門性は、ほかの4人のほうが優れていました。しかし、そのデメリットを割り引いても、全体最適で物事を考えるメリットは段違いに重要でした。

リクルートの「人材開発会議」とは

人材育成も全体最適な組織づくりに活用できます。私が属していたリクルートでは、当時「人材開発会議」という人材育成のための会議を実施していました。そこでは、全メンバーの今後のキャリアについて検討を行うのです。「人材開発委員会」は、各階層レベルで実施します。部レベルでは、人事、部長が主催者になり、配下の課長と一緒に全メンバーについて議論します。

事業部レベルでは、人事、事業部長が主催者になり、配下の部長と一緒に近い将来部長になる人材について議論します。そして全社では、人事、CEOが主催者になり、役員と一緒に、近い将来役員になる人材について議論するのです。

その際に、将来幹部になる可能性のある人材については、複数部門を経験するように人事異動計画を作成していました。複数の部署、複数の職種を経験することで、全体最適な見方を身につけてもらおうと考えていたのです。

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