地道に経験を積み、実績を重ねてようやく大きな仕事を任されてきた上の世代からすれば、理解できないとまでいかなくてもやはりギャップはある。おまけに、Z世代の若者たちが、転職をすることが当たり前という価値観であることも、上司世代をさらに悩ませる。
というのも、同世代には、社会起業家として10代・20代から会社を経営する人もいる。「石の上にも3年」という言葉は通用しないのだ。意味がないと判断すれば、さっさと会社を辞めてしまいかねない。だからこそ、Z世代の部下を持つ上司は、これまでのマネジメントが通用しないと悩みがちだ。
目の前の仕事と、本人のやりたいことの接続
では、そうしたZ世代に、やりがいをもってもらいながら、自組織の仕事で高い成果を出していただくにはどうすればいいのだろうか。筆者の組織・人財開発における個人的な知見や経験を交えながら対処法を探ってみよう
もし、彼らの希望をそのまま叶えるのであれば、社会貢献が実感できる仕事のみを担っていただければいいのだが、みんながやりたい仕事しかやらないのであれば、会社はまわらなくなってしまう。
むしろ、本人の成長のためにあえて希望とは異なる職務を与えている場合もある。入社1~2年目の若手が任される仕事は、仕事の足腰を鍛える意味もあり、往々にして地味で目立たないものが多くなりがちだ。
そんな時に、上司や周囲に望ましいファーストアクションは、相互理解だと筆者は考えている。その部下が仕事で叶えたいことを話してもらい、受け止めること。「貧困問題を解決したい」「カーボンニュートラルな社会を実現したい」など、彼らの成し遂げたいことが今の事業や業務とどんなに距離があることだとしても、まずは前提として、じっくりと耳を傾けてその想いを認めてあげることが大切だ。
多様な価値観を肯定されて育っている。「実力もないのにそんなの無理だよ」と頭ごなしに否定するのはNG。むしろ、「この上司には自分の想いを打ち明けても大丈夫」という心理的安全性の担保がファーストステップとなる。仕事だけでなくプライベートの話までざっくばらんに相談できる関係性を築くのが望ましい。そのためには、上司から自分の弱みやプライベートの部分を開示し、親近感を持ってもらうことも必要だろう。
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