「彼女の両親も祖母も故郷に居続けることを選びました。彼女には弟がいますが、18~60歳までのウクライナ人男性は出国できないし、彼はいずれ徴兵されるでしょう」
ドニプロからポーランド国境に近い街リヴィウまでは通常時でも電車で18時間以上かかる。現在のような状況なら24時間以上かかってもおかしくはない。高齢者が移動するには厳しいだろう。家族と離れて自分たちだけ国外に逃避するなんてできないと、涙ながらに抗議されたという。
「ウクライナの女性は私が知る限り、世界で最もたくましいですね。自立していてバリバリ仕事をしながら、家事や親、子供やダンナの世話までなんでもこなす。気も強いしね。また、これは女性に限ったことではありませんがすごく頑固なので、こうと決めたらちょっとやそっとでは考えを変えません」と苦笑するケリーさん。
ウクライナを離れることに
侵攻が始まって以降、Facebookでグループを立ち上げ、食料や医薬品などの入手に困っている人たちのサポートに努めていたケリーさんだが、とうとうウクライナを離れることを決断した。
大きな理由は、ハリコフの惨状が伝わってきたことと、ドニプロ出身でスぺインに移住した知人から「(まだドニプロにいる)妹を連れて逃げてほしい」と頼まれたことだ。確かに、若い女性が1人で逃避行するのはリスクが高い。ほかにも「逃げたいけど自分と娘だけでは怖い」とためらっていた女性も一緒に逃避することになったという。
「彼女たちを安全な場所まで連れて行ったらドニプロに戻ってきたい。でもどうなるかわかりません(ケリーさん)」
ケリーさんが最も憂慮しているのは、事態の長期化で食料や医薬品などの生活必需品が不足することだ。
「今はお金があればモノは買えます。でもこの状況が長期化すれば供給が追いつかなくなるでしょう。例えば、赤十字など信頼できる組織が責任をもって物資の供給を確保してくれることを望みます」
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